「ほにゃらら」という言葉を耳にしたことはあっても、正確な意味や読み方、どのような場面で使う表現なのかまでは知らない人も多いのではないでしょうか。実は「ほにゃらら」は、伏せ字や穴埋め問題の空白部分を読むときに使われる日本語表現です。特定の名前や言葉を明かさずに話したいとき、仮の名称を置きたいときにも使われます。
小学館の「デジタル大辞泉」にも掲載されている言葉で、単なる冗談や思いつきの言い回しではありません。テレビのクイズ番組を通じて広まった経緯や、「韜晦語(とうかいご)」との関係、○や×などの記号を読む際の使い分けにも特徴があります。2026年現在の日本語表現として、その意味から由来、実際の例文まで整理します。
【ほにゃららの意味とは?】読み方と辞書的な定義を解説

「ほにゃらら」は、伏せ字部分や穴埋め問題の空白部分を読むときなどに用いられる言葉です。読み方は、そのまま「ほにゃらら」。カタカナで「ホニャララ」と表記することもあります。
小学館のデジタル大辞泉では、伏せ字部分や穴埋め問題の空白部分を読むときに使う語として説明されています。つまり、具体的な文字や名称が隠されているとき、その場所を声に出して表現するための言葉です。
例えば、次のような文章があったとします。
「日本の首都は○○です」
この○○の部分を具体的に明かさずに読む場合、「日本の首都はほにゃららです」という表現ができます。実際には東京という答えが入りますが、話し手が答えを伏せたい場合や、聞き手に考えてもらいたい場合に便利です。
また、特定の人物や企業を指さず、仮の名前を示す用途もあります。「ほにゃららさん」「ほにゃらら株式会社」のように使えば、具体的な固有名詞を出さずに文章を成立させられます。
「ほにゃらら」は正式な日本語なのか「ほにゃらら」は辞書に掲載されている日本語表現です。ただし、一般的な会話で使われる俗語的な性格も持っています。
新聞記事や論文、行政文書などで使用する場合は、文章の目的や読者層に注意が必要です。意味は通じても、くだけた印象を与えるため、正式な文書では「仮名」「任意の名称」「未記載部分」「A社」などに置き換えるほうが適切な場合があります。
【伏字との関係】ほにゃららは何を隠すための表現なのか
「ほにゃらら」を理解するうえで欠かせないのが、伏せ字との関係です。
伏字(ふせじ)とは、文章や印刷物などで、明記することを避けたい文字や言葉を空白や記号に置き換える表現方法です。「伏せ字」と書くこともあります。
精選版日本国語大辞典では、印刷物で明記をはばかる箇所を空白にしたり、○や×などの印で表したりすること、また、その箇所や記号を伏字と説明しています。
伏せ字が使われる理由は一つではありません。代表的なものは次のとおりです。
- 個人名や企業名などの具体的な名称を隠したい場合
- 問題の正解を伏せて、読者に考えてもらいたい場合
- 不適切な表現や公開を避けたい言葉を隠す場合
- サンプル文章で特定の人物や企業を想定させない場合
- 会話の中で具体的な内容をあえてぼかしたい場合
例えば、「○○さんが昨日訪れた場所は、ほにゃららです」という文章では、具体的な場所を明かさずに説明できます。
ここで押さえておきたいのは、伏字とほにゃららは同じものではないという点です。伏字は文字を隠す方法そのものを指し、ほにゃららは隠された部分を読むときに使う言葉です。
伏字の歴史にも関係がある伏字は、単なる現代のインターネット文化ではありません。改訂新版の世界大百科事典によると、日本の近代出版では言論統制や出版物の検閲と関係し、明治期以降に広く使われるようになりました。
特に1920年代から1930年代半ばにかけては、出版物の中で伏字が多く使われた時期がありました。反戦や反軍、社会主義、性に関する表現など、当時の出版規制に抵触する可能性のある言葉をあらかじめ伏せる対応も行われていました。
このような歴史を考えると、伏字は単なる文字の省略ではなく、情報をどこまで公開するかという社会的な問題とも結びついてきた表現方法だと分かります。
【○や×の読み方】記号をほにゃららと読むのはなぜ?
「ほにゃらら」の使い方で特徴的なのが、○や×などの記号を読むケースです。
記号そのものには一般的な読み方があります。しかし、伏せ字として使われている場合には、記号の名前を読むよりも、隠された言葉の代わりとして「ほにゃらら」と読むほうが自然な場合があります。
例えば、「○○株式会社」という表記を見たとき、記号をそのまま説明するなら「まるまる株式会社」です。一方、具体的な会社名を伏せた状態で文章を読み上げるなら、「ほにゃらら株式会社」と表現できます。
代表的な記号の読み方と使い分けを整理すると、次のようになります。
| 記号・表現 | 一般的な読み方 | 伏せ字としての読み方・用途 |
|---|---|---|
| ○ | まる | ほにゃらら、まるまる |
| × | ばつ、かける | ほにゃらら、チョメチョメ |
| ● | くろまる | 隠された文字や名前の代用 |
| * | アスタリスク | 伏せられた文字や情報の代用 |
| △ | さんかく | 文脈に応じて伏せ字として使用 |
○の基本的な読み方は「まる」です。○○と並んでいれば「まるまる」と読むこともあります。
ただし、○が特定の言葉や名前を隠すために使われている場合は、「ほにゃらら」と読むことができます。
例えば、次の二つを比べてみましょう。
- 「答えは○です」:記号そのものを指すなら「まる」
- 「○○さんが来ました」:名前を伏せているなら「ほにゃららさん」
同じ記号でも、何を伝えたい文章なのかによって読み方が変わります。
×の読み方は「ばつ」「かける」「チョメチョメ」×は一般的に「ばつ」または「かける」と読みます。正誤を表す場合は「ばつ」、数学の乗算では「かける」です。
一方、伏せ字としての×には「チョメチョメ」という読み方もあります。これは、テレビ番組「アイ・アイゲーム」で司会を務めた山城新伍が使った表現として知られています。
そのため、×を見たからといって、必ず「ほにゃらら」と読むわけではありません。記号の意味を伝えるのか、隠された内容を代わりに表現するのかを判断することが大切です。
【ほにゃららの由来】久米宏とクイズ番組が広めた背景
「ほにゃらら」の由来を語るうえで欠かせない人物が、テレビ司会者として活躍した久米宏です。
読売テレビの道浦俊彦による言葉の解説記事では、久米宏の著書『久米宏です。~ニュースステーションはザ・ベストテンだった』の記述をもとに、言葉が広まった経緯が紹介されています。
広く知られるきっかけとなったのは、1975年から1986年まで放送されたクイズ番組「ぴったし カン・カン」です。
番組内で久米宏は、問題文を読み上げる際に正解部分を隠すため、「ほにゃらら」という言葉を使っていました。視聴者にも分かりやすく、耳に残りやすい独特の言い回しだったことから、番組を通じて一般にも浸透したとされています。
言葉が生まれたきっかけはラジオ時代にあった興味深いのは、クイズ番組よりも前に、ラジオでの言葉遊びがあったと紹介されている点です。
読売テレビの記事によると、久米宏の著書では、ラジオ番組への投稿者が匿名を希望した際、本人には分かるように名前を変えて表現する工夫が始まりだったと説明されています。
そのときに使われた「ほにゃらへにゃら」といった言い回しが、後の「ほにゃらら」につながったという経緯です。
つまり、テレビ番組が最初の発生源だったというより、ラジオでの言葉遊びがあり、クイズ番組で広く知られるようになったという流れで理解すると分かりやすいでしょう。
「チョメチョメ」との違いほにゃららと並んで、伏せ字を表す言葉として知られているのが「チョメチョメ」です。
こちらは山城新伍が司会を務めたクイズ番組「アイ・アイゲーム」(1979年~1985年)で使われた表現です。
読売テレビの言葉の解説記事では、ほにゃららとチョメチョメの由来をそれぞれ紹介しています。どちらもテレビ番組を通じて広まった表現ですが、普及のきっかけとなった番組や司会者は異なります。
【韜晦語としての位置づけ】意味と読み方を正しく理解する
「ほにゃらら」を調べると、「韜晦語(とうかいご)」という難しい言葉に出会うことがあります。
韜晦は「とうかい」と読み、自分の本心や才能、地位などを包み隠すこと、あるいは身を隠すことを意味します。小学館のデジタル大辞泉や精選版日本国語大辞典にも、この意味が掲載されています。
「韜」は包み隠すこと、「晦」は暗くすることや隠すことに関係する漢字です。二つが組み合わさることで、表に出さず、分からないようにするという意味になります。
ほにゃららと韜晦語の関係ほにゃららは、具体的な名称や内容を明らかにせず、別の言葉で置き換える表現です。そのため、広い意味で情報をぼかす言葉、つまり韜晦的な表現として説明されることがあります。
ただし、辞書における「韜晦」の基本的な意味は、自分の本心や才能などを隠す行為です。「ほにゃらら」は伏せ字や穴埋めの読み上げを中心とする俗語的な表現であり、両者が完全に同じ意味というわけではありません。
この違いを理解しておけば、難しい専門用語に引っ張られず、実際の会話における使い方を正しく把握できます。
意味のない名前や名前の代用表現としても使えるほにゃららには、特定の名前を指定しないまま文章を成立させる役割もあります。
例えば、次のような使い方です。
- 「ほにゃらら商事」:具体的な企業を指定しない仮の会社名
- 「ほにゃららさん」:人物名を特定しないための代用表現
- 「ほにゃららというサービス」:具体的なサービス名を伏せた説明
このような使い方では、名前そのものに特別な意味があるわけではありません。あくまで、具体的な名称が必要な場所に置く仮の表現です。
ただし、実際の企業名や人物名を伏せる目的で使う場合、周辺の情報から対象が特定できてしまうことがあります。個人情報や機密情報を守る必要がある場面では、単にほにゃららに置き換えるだけでは十分とは限りません。
【実践的な使い方と例文】日常会話・文章ではどう使う?
ほにゃららは、会話、クイズ、文章のサンプル、説明資料など、さまざまな場面で使えます。特に、具体的な言葉を思い出せない場合や、あえて名前を明かさない場合に便利です。
日常会話での例文- 「昨日、ほにゃららというお店に行ってきたよ」
- 「あの人、ほにゃららさんと知り合いらしいよ」
- 「詳しい話は、まあ、ほにゃららということで」
- 「あの映画の主人公を演じていたのは、ほにゃららさんだったよね」
日常会話では、固有名詞を思い出せないときや、話の内容を曖昧にしたいときに使えます。くだけた印象があるため、親しい相手との会話に向いています。
文章や説明資料での例文- 「ここでは、ほにゃらら株式会社を例として説明します」
- 「申込者の氏名は、ほにゃららとして記載しています」
- 「商品Aとほにゃららを比較した結果、価格に違いがありました」
- 「この問題の答えは、○○に入るほにゃららです」
文章では、仮の名称を入れるために使うケースがあります。ただし、ビジネス文書や契約書などでは、読者が意味を誤解しないよう「仮称」「サンプル」「A社」などの表現を選ぶほうが適切です。
ほにゃららと類似表現の使い分け日本語には、具体的な言葉をぼかしたり、不特定の対象を示したりする表現が複数あります。
- なんとか:名前や内容を正確に思い出せないときに使う。
- なんちゃら:具体的な名称を曖昧にして表現する口語。
- 何々:具体的な語句を指定しないときに使う一般的な表現。
- チョメチョメ:伏せ字や隠された内容を表す、ユーモラスな表現。
- うんぬん:具体的な内容を省略し、話の一部をまとめるときに使う。
ほにゃららは、これらの中でも伏せ字の読み上げや、名前の代用という用途が比較的はっきりしています。単に内容を省略するだけでなく、隠された部分に何らかの言葉が入ることを示せるのが特徴です。
【プロの結論】ほにゃららを使う場面と避けるべき場面
ほにゃららは便利な表現ですが、使う相手や文章の目的によって適切さが変わります。重要なのは、言葉をぼかすことと、情報を正しく保護することを混同しないことです。
ほにゃららが向いている場面- クイズや穴埋め問題で答えを隠したいとき
- 会話の中で具体的な名前をあえて出したくないとき
- 文章のサンプルとして仮の名称を入れたいとき
- くだけた雰囲気で説明したいとき
- 固有名詞が思い出せないとき
- 契約書や法律関係の正式文書
- 公的な申請書や証明書
- 正確な情報伝達が求められる報道資料
- 個人情報や企業秘密を確実に保護する必要がある場面
- 読者が具体的な名称を知る必要がある説明
特に注意したいのは、匿名化と伏せ字の違いです。実名をほにゃららに置き換えても、所属先、役職、地域、出来事などを組み合わせれば本人が特定される可能性があります。
また、サンプルとして「ほにゃらら商事」と記載する場合も、実在する企業名と偶然一致する可能性があります。公開用の資料では「架空の会社名です」と補足したり、「A社」「サンプル株式会社」などの表記を使ったりすると、誤解を防ぎやすくなります。
表現の面白さを重視するなら「ほにゃらら」、正確性を重視するなら「仮称」「匿名」「A社」など、目的に合わせて使い分けることがポイントです。
【ほにゃらら】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ほにゃららの正しい読み方は何ですか?
A1:「ほにゃらら」と読みます。カタカナで「ホニャララ」と表記することもあります。伏せ字や穴埋め問題の空白部分を読むときなどに使われる言葉です。
Q2:ほにゃららの由来は久米宏ですか?
A2:久米宏が出演したクイズ番組「ぴったし カン・カン」を通じて広く知られるようになったとされています。久米宏の著書に関する読売テレビの解説では、ラジオ番組への匿名投稿に関連した言葉遊びが、その始まりとして紹介されています。
Q3:○や×は必ずほにゃららと読みますか?
A3:必ずしもそうではありません。○は「まる」、×は「ばつ」や「かける」と読むのが一般的です。伏せ字として具体的な言葉や名前を隠している場合に、その部分を「ほにゃらら」と読むことがあります。
「ほにゃらら」は、伏せ字や穴埋め問題の空白部分を読むときに使われる日本語表現です。読み方は「ほにゃらら」で、具体的な名前を明かさずに表現したいときや、仮の名称が必要なときにも使われます。
その普及には、久米宏が司会を務めたクイズ番組「ぴったし カン・カン」が関係しています。また、伏せ字の歴史をたどると、近代日本の出版文化や言論統制とのつながりも見えてきます。
韜晦(とうかい)は本心や才能などを包み隠すことを意味し、ほにゃららは情報をぼかす表現として関連づけて説明できます。ただし、辞書的な意味では両者は同一ではありません。
○や×などの記号も、通常の読み方と伏せ字としての読み方を区別する必要があります。日常会話やクイズでは便利な言葉ですが、正式文書や個人情報の保護が必要な場面では、より明確な代用表現を選ぶことが大切です。
言葉の意味だけでなく、誰に何を伝えるために使うのかを意識すれば、「ほにゃらら」をより自然に使いこなせます。
主な参考資料
- 小学館『デジタル大辞泉』「ほにゃらら」「韜晦」
- 『精選版 日本国語大辞典』「伏字」
- 平凡社『改訂新版 世界大百科事典』「伏字」
- 読売テレビ・道浦俊彦「新・ことば事情 9488『ほにゃららとチョメチョメ』」(2024年7月11日)