2026年11月現在、式秀部屋は茨城県龍ケ崎市佐貫を拠点に活動しています。
日本相撲協会の公式部屋紹介では、師匠として式守秀五郎(元幕内・北桜)が掲載されています。所属力士や行司、床山などの情報も公開されており、部屋の運営は継続しています。
2026年11月場所の番付情報では、所属力士は8人で、関取は確認されていません。過去には2012年3月場所に千昇が部屋初の関取に昇進しましたが、その後、関取の誕生には至っていません。
ただし、関取が不在であることと、2020年の騒動との間に直接的な因果関係があると判断できる資料はありません。
10代式秀が掲げた独自の育成方針北桜出身の10代式秀は、厳しさだけに頼らない力士育成を重視してきました。
部屋の指導方針として知られているのが、「明るく・楽しく・元気よく」というモットーです。
稽古中にも、力士に対して無理をしないよう声をかけ、自主性や精神面を大切にする指導が紹介されています。
これは、厳しい稽古を否定するのではなく、力士の心理状態や体調にも目を向ける考え方です。
一方、2020年の騒動では、生活指導の厳格化が力士の心理的負担につながったと報じられました。
ここから見えてくるのは、育成方針として掲げる理念と、実際の日常管理を一致させる難しさです。
力士に自主性を求めるのであれば、生活上のルールについても本人が納得できる説明が必要です。健康管理や感染対策を徹底する場合も、管理する側の判断だけでなく、力士との合意形成が欠かせません。
今後の力士育成に必要な4つの改善策式秀部屋のような少人数の指導体制では、特定の人物に業務が集中しやすくなります。再発防止と育成環境の改善には、次の取り組みが考えられます。
1. 師匠の健康状態に左右されない指導体制
師匠が病気や休養で指導できない場合に備え、代行指導者や一門からの支援を確保する必要があります。
2. 女将と師匠の役割分担を明確にする
生活面の支援と、競技指導・懲戒・育成方針の決定を区別することが重要です。
3. 力士が安心して相談できる窓口を設ける
部屋の内部だけで解決できない問題について、協会や第三者に相談できる経路を確保する必要があります。
4. 精神面と競技面の両方を評価する
番付や勝敗だけでなく、健康状態、稽古への取り組み、共同生活への適応なども含めて育成を考えることが求められます。
これらは式秀部屋だけでなく、相撲部屋全体の運営にも通じる課題です。
【プロの結論】式秀部屋問題の本質は個人の対立ではなく運営構造にある

式秀部屋の2020年の騒動から読み取れる本質は、部屋の運営を担う人の権限と責任が一致していなかったことです。
女将は日常生活や力士の育成を支える重要な存在ですが、協会員ではありません。一方、師匠は協会員として部屋全体の管理責任を負います。
この二つの立場の間に明確な制度的な橋渡しがなければ、師匠が健康上の理由で指導できなくなったとき、運営上の空白が生じます。
式秀部屋では、その空白を埋めるために女将の役割が大きくなり、結果として力士との間に深刻な摩擦が生じました。
問題を評価するための3つの判断基準今後、相撲部屋の運営問題を考える際には、次の3点を見ることが重要です。
- 権限と責任の一致: 実際に指導する人と、最終的な管理責任を負う人が明確になっているか。
- 第三者によるチェック: 部屋の内部で問題が発生した際、師匠や女将以外に相談・確認できる仕組みがあるか。
- 育成環境の健全性: 規律を守らせることと、力士のプライバシーや心身の健康を守ることが両立しているか。
2021年の有識者会議提言書が示した、協会と相撲部屋の責任分担の明確化や師匠への指導監督強化は、この問題を考えるうえで重要な視点です。
伝統的な相撲部屋の良さは、師匠と弟子が共同生活を通じて技術や精神を受け継ぐことにあります。しかし、伝統を守ることは、曖昧な管理体制を維持することではありません。
力士が安心して稽古に集中できる環境を整えることこそ、部屋の師匠と日本相撲協会に求められる責任です。
【式秀部屋】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:式秀部屋の力士9人はなぜ脱走したのですか?
A1:2020年8月、女将による厳しい生活指導や管理方法に心理的負担を感じたことが主な理由と報じられました。当時は師匠の10代式秀が体調を崩し、女将が師匠代行として生活指導を担っていました。
Q2:式秀部屋の女将は日本相撲協会から処分されたのですか?
A2:女将は協会員ではなく、協会との雇用関係もないため、協会員に対する正式な懲戒処分を直接適用することが難しい立場でした。当時の報道では、師匠と女将への口頭注意が伝えられています。協会員としての懲戒処分とは区別する必要があります。
Q3:2026年現在も式秀部屋は存続していますか?
A3:はい。2026年11月現在も茨城県龍ケ崎市にあり、日本相撲協会の公式サイトに掲載されています。師匠は元幕内・北桜の式守秀五郎です。11月場所の番付情報では所属力士8人で、関取は確認されていません。
式秀部屋問題は、2020年8月に力士19人中9人が部屋を離れたことで表面化しました。
背景には、女将による生活指導への不満、師匠である10代式秀の体調不良、部屋付き親方の不在という複数の問題がありました。
特に注目すべきなのは、女将が部屋の運営に重要な役割を果たしていても、日本相撲協会の協会員ではなく、直接的な雇用・懲戒関係が存在しないという制度上の課題です。
この問題は、師匠個人の監督責任だけで解決できるものではありません。協会による支援、一門の協力、部屋の管理体制、力士の相談環境を総合的に整える必要があります。
式秀部屋問題が残した最大の教訓は、強い力士を育てるためには、強い稽古だけでなく、安心して相撲に打ち込める組織と生活環境が必要だということです。
2026年以降も、相撲部屋の伝統を守りながら、力士の人権や健康、指導体制の透明性をどう確保していくかが、大相撲全体に問われています。