イングランド対日本のラグビーは、1971年の初対戦から半世紀以上にわたって続く国際対決だ。ラグビー発祥国の一つであるイングランド代表に対し、日本代表は接戦を演じた時代を経て、ワールドカップや国際テストマッチで何度も挑戦してきた。2023年ラグビーワールドカップ、2024年のリポビタンDチャレンジカップでも両国は対戦している。
ただし、日本ラグビーフットボール協会が掲載する過去の対戦記録を読む際には、一つ注意したい点がある。両国の協会でテストマッチとして認定する試合の扱いが異なり、単純にスコアを並べただけでは通算成績の意味を正しく理解できないからだ。歴代スコアと対戦の背景を整理すると、両国のラグビーの歩みも見えてくる。
【結論】イングランド対日本の通算成績は?2026年時点の対戦状況

日本ラグビーフットボール協会の対戦履歴と、その後のワールドカップ・国際試合の記録を合わせると、2024年までに両国は13試合を戦っている。
通算成績は日本代表0勝、イングランド代表13勝。引き分けはない。日本側の得点を先に記載した13試合の合計得点は179対515で、イングランドが大きく上回る。
ただし、この数字には1971年や1979年のように、日本側では代表戦として記録されていても、イングランド側では正式なテストマッチとして扱われなかった試合が含まれている。
つまり、13試合という数字は両国の対戦履歴全体を把握するための数字であり、両国が同じ基準で認めたテストマッチだけを集計した数字ではない。
2026年11月1日現在、次の対戦は11月14日に予定されている。会場はロンドンのトゥイッケナムにあるアリアンツ・スタジアムで、現地時間16時40分のキックオフ予定だ。大会は2026年から始まるネーションズ・チャンピオンシップとなる。この試合は通算14度目の対戦に当たる。
【歴代スコア一覧】1971年から2024年までの全13試合を比較
日本ラグビーフットボール協会の過去の対戦成績を基礎に、2023年のワールドカップと2024年の2試合を加えた一覧が次のとおりだ。
スコアはすべて日本代表の得点を先に記載している。会場についても当時の日本協会の記録に基づいて整理した。
| 開催日 | 大会・試合 | スコア(日本-イングランド) | 開催地 |
|---|---|---|---|
| 1971年9月24日 | イングランド遠征団来日 | 19-27 | 大阪・花園 |
| 1971年9月28日 | イングランド遠征団来日 | 3-6 | 東京・秩父宮 |
| 1979年5月13日 | イングランド遠征団来日 | 19-21 | 大阪・花園 |
| 1979年5月20日 | イングランド遠征団来日 | 18-38 | 東京・国立競技場 |
| 1986年10月11日 | 国際試合 | 12-39 | ロンドン・トゥイッケナム |
| 1987年5月30日 | 第1回ラグビーワールドカップ | 7-60 | シドニー・コンコードオーバル |
| 2003年7月3日 | イングランド来日試合 | 10-37 | 東京・味の素スタジアム |
| 2003年7月6日 | イングランド来日試合 | 20-55 | 東京・国立競技場 |
| 2018年11月17日 | 国際テストマッチ | 15-35 | ロンドン・トゥイッケナム |
| 2022年11月12日 | 国際テストマッチ | 13-52 | ロンドン・トゥイッケナム |
| 2023年9月17日 | ラグビーワールドカップ2023 | 12-34 | フランス・ニース |
| 2024年6月22日 | リポビタンDチャレンジカップ2024 | 17-52 | 東京・国立競技場 |
| 2024年11月24日 | リポビタンDツアー2024 | 14-59 | ロンドン・トゥイッケナム |
この一覧は日本ラグビーフットボール協会の2018年・2022年・2024年の対戦資料、男子日本代表の試合履歴、各大会の公式結果を照合したものだ。2023年のワールドカップについては、フランス現地時間9月17日の試合を掲載している。日本時間では9月18日の開催だった。
1987年の試合は、日本7-60イングランドが正しい。英語の大会記録ではイングランド60-7日本と表記されるため、スコアの順序を取り違えないようにしたい。
なお、1971年・1979年・1986年・2003年の試合には、イングランド側がキャップ対象外のチームとして出場した試合が含まれる。この点は、後述するテストマッチ認定の違いを理解するうえで欠かせない。
【対戦の歴史】1971年の接戦から1987年ワールドカップ、2003年の再戦へ
1971年:日本代表がラグビー発祥国に挑んだ最初の対決両国の最初の対戦は1971年9月24日、大阪の花園ラグビー場だった。日本代表は19-27で敗れたものの、強豪イングランドを相手に8点差まで迫った。
続く9月28日には東京の秩父宮ラグビー場で再戦。結果は日本3-6イングランドだった。
この試合は日本ラグビー史に残る接戦として知られている。日本ラグビー協会のデジタルミュージアムによると、当日は約2万5000人を超える観客が集まり、スタンドに入り切れなかった観客が芝生にまであふれたという。
さらに、両チームともトライを挙げられず、ペナルティゴールによる得点だけで勝敗が決まった。日本代表がイングランド代表を相手に80分間粘り強く戦った試合として、現在も語り継がれている。
1979年:再び2点差の惜敗1979年5月、イングランドは再び日本に遠征した。初戦は5月13日の花園ラグビー場。日本は19-21で惜敗した。
日本ラグビー協会の歴史資料では、この試合について、試合終盤まで日本がリードしていたものの、最後に逆転を許した経緯が記されている。
2戦目の5月20日は東京の国立競技場で行われ、日本は18-38で敗れた。最初の試合で金星に迫ったものの、連戦ではイングランドの力の差も表れた。
1971年の3-6、1979年の19-21という結果は、現在の通算成績だけを見ていると見落としやすい。初期の対戦では、日本が勝利に迫った試合が実際に存在していた。
1987年:第1回ラグビーワールドカップで初の世界大会対決1987年5月30日、オーストラリアのシドニーにあるコンコードオーバルで、第1回ラグビーワールドカップの日本対イングランド戦が行われた。
結果は日本7-60イングランド。日本代表にとって厳しい敗戦となったが、この試合には別の重要な意味もあった。
日本ラグビー協会の記録と当時の対戦経緯によれば、これが両国の協会が初めて共通してテストマッチと認めた対戦だった。それ以前の試合では、イングランド側がフル代表ではなく、England XVとして扱っていたケースがあったためだ。
つまり、1987年は単にワールドカップで大敗した試合というだけでなく、両国の公式なテストマッチの歴史における節目でもある。
2003年:イングランドの来日と2連戦2003年7月にはイングランドが日本を訪れ、2試合を行った。7月3日は日本10-37イングランド、7月6日は日本20-55イングランドという結果だった。
日本代表は2試合とも敗れたが、ここでも注意したいのがイングランド側のチーム区分だ。日本協会の過去の対戦資料では、2003年の試合もイングランド側のキャップ対象外チームとして扱われている。
したがって、対戦履歴としては重要な2試合であっても、両国が同じ基準で認めたテストマッチと混同してはいけない。
【テストマッチ認定の違い】日本代表とイングランド代表で記録が食い違う理由
イングランド対日本の対戦史を調べる際、最も誤解が生じやすいのがテストマッチの認定問題だ。
ラグビーでは、国の代表同士が対戦したからといって、必ずしも両国が同じ試合を正式なテストマッチとして扱うわけではない。各国のラグビー協会が代表チームの区分や選手へのキャップ付与を判断してきた歴史がある。
キャップとは何かキャップとは、代表戦への出場を記録する制度だ。日本ラグビーフットボール協会の説明では、テストマッチに出場した選手の代表戦出場数をキャップとして数える。
男子15人制日本代表では1982年にキャップ制度が導入され、過去の試合にもさかのぼって対象試合を定めた。このため、実際の試合が行われた当時と、後年の記録上の扱いが異なるケースもある。
日本側は代表戦として認めても、イングランド側は認めない場合がある1971年の来日試合では、日本側はイングランド代表との試合として記録した。一方、イングランド側はEngland XVという選抜チームの扱いで、選手にフル代表のキャップを与えなかった。
1979年の遠征でも同様の事情があった。さらに1986年の試合や2003年の来日試合についても、日本協会の対戦資料にはイングランド側がキャップ対象外のチームとして出場した旨が記されている。
このように、同じ試合でも日本側の記録とイングランド側の記録に違いが生まれる。
両国が認める試合と片方だけが認める試合日本ラグビーフットボール協会が2018年のイングランド戦発表資料に掲載した過去の対戦表では、1971年、1979年、1986年、2003年の試合に、イングランド側のキャップ対象外であることを示す注記が付いている。
一方、1987年のワールドカップ、2018年と2022年のトゥイッケナムでの試合は、両国がテストマッチとして認める対戦として整理されている。
その後の2023年ワールドカップと2024年の2試合も、国際大会・テストマッチとして両国の記録に残っている。
このため、2024年までの13試合を整理すると、次のような違いが見えてくる。
- 日本側の対戦履歴:13試合
- 両国が共通して認めたテストマッチ:6試合
- 日本代表の通算勝利:0勝
- イングランド代表の通算勝利:13勝
ここで大切なのは、テストマッチとして認められない試合が、歴史的に価値のない試合という意味ではないことだ。1971年の3-6や1979年の19-21は、公式な対戦史を語るうえで欠かせない記録である。
【2018年・2022年・2023年・2024年】近年のイングランド戦で何が変わった?
2018年:トゥイッケナムで15-352018年11月17日、日本代表はイングランドの本拠地トゥイッケナム・スタジアムで対戦した。
結果は15-35。日本は20点差で敗れたものの、両国が認める正式なテストマッチとして記録された試合だった。
日本協会の発表資料では、当時のイングランドは世界ランキング上位の強豪として紹介されており、日本にとって2019年ワールドカップを見据えた重要な強化機会でもあった。
2022年:13-52で再びイングランドが勝利2022年11月12日、日本代表は再びトゥイッケナムでイングランド代表と対戦した。
試合結果は13-52。イングランドは7トライを挙げ、日本を39点差で退けた。
日本ラグビーフットボール協会は、この試合をキャップ対象試合として事前に発表している。2018年に続く両国の正式なテストマッチだった。
この時期の対戦からは、イングランドが持つ選手層の厚さや、セットプレー、接点での強さが日本にとって大きな課題であることが見えてくる。
2023年:ワールドカップで12-342023年9月17日、フランスで開催されたラグビーワールドカップ2023のプールD第2戦で、日本代表とイングランド代表が対戦した。
結果は日本12-34イングランド。前半は日本9-13イングランドと4点差で折り返したが、後半に差を広げられた。
日本ラグビーフットボール協会の試合後発表では、ジェイミー・ジョセフHCがチームの奮闘を評価しながら、強豪相手にプレッシャーをコントロールする必要性について言及している。
1987年のワールドカップでは53点差だったことを考えると、2023年の22点差は異なる時代の実力差を考える材料になる。ただし、試合展開やチーム編成が違うため、点差だけで実力の変化を断定することはできない。
2024年6月:日本国内初開催の正式テストマッチ2024年6月22日、東京の国立競技場でリポビタンDチャレンジカップ2024が開催された。
日本代表にとって歴史的だったのは、イングランド代表との正式なテストマッチが初めて日本国内で開催されたことだ。
日本ラグビーフットボール協会の公式試合記録によると、結果は日本17-52イングランド。前半を3-26で折り返し、後半は14点を挙げたものの、イングランドの攻撃力を止められなかった。
1971年の初来日から53年。かつての日本代表にとって特別な存在だったイングランド代表を、正式なテストマッチとして日本国内に迎えたことには大きな歴史的意義があった。
2024年11月:トゥイッケナムで14-59同年11月24日には、イングランドのホームで再戦が実現した。
結果は日本14-59イングランド。前半を7-35で終え、後半にもイングランドが得点を重ねた。
日本はキャプテンの齋藤直人や姫野和樹がトライを挙げたが、イングランドは9トライを記録。日本の攻撃に対する守備対応と、攻撃時の決定力で差を見せた。
2024年は6月と11月の2試合ともイングランドが勝利し、日本の初勝利は持ち越された。
【2026年の注目点】11月14日の再戦は通算14度目の対決
2026年のイングランド対日本は、ネーションズ・チャンピオンシップのプール戦として開催される。
日本ラグビーフットボール協会の公表スケジュールとワールドラグビーの試合情報によると、試合は2026年11月14日(土)16時40分にキックオフ予定。会場はロンドンのアリアンツ・スタジアム、通称トゥイッケナム・スタジアムだ。
この試合は、2024年11月の59-14以来の対戦となる。日本代表にとっては、イングランドとの過去13試合で一度も勝てていない状況を変えられるかが最大の注目点だ。
2026年大会は、北半球のシックス・ネーションズ参加国と南半球などの代表チームが参加する新しい国際大会。従来の単発テストマッチとは異なり、大会全体の順位争いにも関わる試合となる。
また、会場のトゥイッケナムはイングランドラグビーを象徴するスタジアムだ。2018年、2022年、2024年11月と、日本代表はこの場所でイングランドと対戦してきた。今回も敵地での厳しい戦いが予想される。
2026年の結果は、過去のスコアを更新するだけではない。日本代表が世界の強豪に対してどこまで継続的に競争力を示せるかを測る機会となる。
【プロの結論】イングランド対日本の対戦史から読み取るべき3つのポイント
日本代表とイングランド代表の対戦史は、単純な13連敗という数字だけで理解すると重要な背景を見落としてしまう。
ラグビーの歴史と公式記録を読み解くうえで、押さえておきたいポイントは3つある。
1. 通算成績だけでは初期の接戦が見えない1971年の3-6、1979年の19-21は、どちらも日本が勝利に迫った試合だった。
特に1971年の秩父宮での試合は、両チーム無トライという展開だった。日本代表が強豪を相手に守備で粘り抜いた歴史的な試合であり、現在の大差の試合と同列に扱うだけでは当時の価値が伝わらない。
2. テストマッチの数字は集計基準を確認する日本側の代表戦履歴と、両国が共通して認めたテストマッチの一覧は同じではない。
過去の試合を調べる際には、次の基準で情報を見分けると混乱しにくい。
- 対戦履歴を知りたい場合:日本ラグビーフットボール協会の歴代対戦表を確認する。
- 両国共通のテストマッチを知りたい場合:両国のキャップ認定状況を確認する。
- ワールドカップの結果を調べたい場合:ワールドラグビーの大会記録と照合する。
この3つを分ければ、13試合という対戦履歴と、両国が共通して認めた試合の数が異なる理由を正しく理解できる。
3. 初勝利だけでなく試合内容の進歩を見る2023年は12-34、2024年6月は17-52、同年11月は14-59だった。数字だけを見ると、日本代表がイングランドに対して依然として大きな課題を抱えていることが分かる。
一方で、評価の軸は勝敗だけではない。相手のセットプレーにどれだけ対応できたか、攻撃の継続性を保てたか、守備での規律を維持できたかなど、試合内容を分解する必要がある。
特に強豪国との試合では、ボール保持率や地域獲得だけでなく、相手の22メートルライン内で得点機会をどれだけ作れたかも重要だ。ボールを保持していても得点に結び付かなければ、試合の主導権を握ったとはいえない。
日本代表が2026年の再戦で何を改善したのかを判断するには、最終スコアだけでなく、こうした競技内容の指標を合わせて見ることが大切だ。
【イングランド対日本】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:イングランド代表と日本代表の通算成績は何勝何敗?
A1:2024年までの対戦履歴では、日本代表0勝、イングランド代表13勝です。引き分けはありません。2026年11月14日に予定されている再戦は通算14度目の対決です。
Q2:日本代表がイングランド代表と初めて対戦したのはいつ?
A2:1971年9月24日、大阪の花園ラグビー場です。日本は19-27で敗れました。同月28日の東京・秩父宮ラグビー場での再戦は3-6という接戦でした。
Q3:イングランド対日本で初めて両国が認めたテストマッチはいつ?
A3:1987年5月30日の第1回ラグビーワールドカップでの対戦です。日本7-60イングランドという結果でした。それ以前には、日本側では代表戦として扱われても、イングランド側ではEngland XVなどのキャップ対象外チームとして扱われた試合がありました。
イングランド対日本のラグビー対戦は、1971年に始まり、2024年までに13試合が行われた。通算成績は日本代表0勝13敗だが、初期には3-6や19-21という接戦もあり、すべての試合が一方的だったわけではない。
また、歴代スコアを正しく理解するには、両国のテストマッチ認定の違いが欠かせない。日本協会が記録する代表戦と、イングランド側もキャップ対象とする試合は必ずしも一致しないからだ。
2018年、2022年のトゥイッケナムでの対戦、2023年ワールドカップ、2024年の日本国内初開催となったテストマッチと、その後のイングランド遠征。これらの試合は、両国の関係が単なる勝敗を超えて発展してきたことを示している。
次の大きな節目は2026年11月14日のネーションズ・チャンピオンシップだ。トゥイッケナムで日本代表がどのような戦いを見せるのか。歴代スコアだけでなく、試合内容やテストマッチとしての位置付けも含めて追うことで、イングランド対日本という長い対戦史をより深く理解できる。
主な事実確認資料:日本ラグビーフットボール協会の歴代対戦成績・公式試合記録・デジタルミュージアム、ワールドラグビーの大会記録、イングランドラグビー協会の2026年大会日程。