野球中継やプロ野球の試合結果で目にする「猛打賞」。打者が猛打賞を記録したと聞くと、非常に多くのヒットを打ったことは想像できますが、具体的に何安打から成立するのか、マルチヒットやマルチ安打とは何が違うのか、正確に説明できる人は意外と多くありません。
猛打賞の読み方は「もうだしょう」。基本的には、1人の打者が1試合で3本以上の安打を記録することを指します。ただし、NPBの連盟公式タイトルとして設けられている賞ではなく、球団やスポンサーによる賞品提供と、リーグの公式タイトルは区別する必要があります。
2026年のプロ野球でも、猛打賞は選手の1試合の活躍を伝える野球用語として使われています。安打の数え方から、2安打との境界、MLBにおけるマルチヒットの扱いまで、知っておきたいポイントを整理します。
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> - 猛打賞の意味: 1人の打者が1試合で3本以上の安打を放つこと。
> - マルチヒットとの違い: マルチヒットは2安打以上、猛打賞は3安打以上が条件。
> - 公式タイトルとしての位置づけ: NPBの連盟公式個人タイトルではないが、球団独自のスポンサー賞として設けられる場合がある。
【基本解説】猛打賞とは?読み方・意味と成立する条件

猛打賞は「もうだしょう」と読みます。
野球において、1人の打者が1試合で3本以上の安打を記録したときに使われる言葉です。単に複数回出塁したという意味ではなく、公式記録上の安打数が基準になります。
小学館のデジタル大辞泉でも、日本のプロ野球における1試合3本以上のヒットという意味で説明されています。
この言葉は、選手の1試合における打撃成績を評価するときに使われます。実況中継では「本日2度目の猛打賞」「今季10度目の猛打賞」といった形で登場します。
猛打賞が成立する3つの基本条件成立条件はシンプルです。
1. 対象となる打者が1人であること。
2. 同じ試合の中で安打を3本以上記録すること。
3. その安打が公式記録上、安打として認定されていること。
例えば、ある選手が次のような成績を残したとします。
- 第1打席:センター前ヒット
- 第2打席:空振り三振
- 第3打席:レフト前ヒット
- 第4打席:ライト前ヒット
- 第5打席:四球
この場合、安打は合計3本です。したがって猛打賞が成立します。
一方、4打数2安打に四球が2つ加わっても、安打数は2本なので猛打賞にはなりません。
3安打だけでなく4安打・5安打も対象猛打賞は3安打ちょうどに限定されません。
4安打、5安打、さらにはそれ以上の安打を記録した場合も、猛打賞に該当します。
重要なのは、安打数の上限が設定されていないことです。
また、猛打賞は打点や長打数ではなく安打数によって判断します。3本の単打でも、単打・二塁打・本塁打の組み合わせでも、合計3安打なら条件を満たします。
【記録の仕組み】猛打賞は何安打から?エラーや四球はカウントされる?
猛打賞を正しく理解するには、そもそも野球の公式記録で何が安打として扱われるのかを知る必要があります。
見た目にはヒットのように思える打球でも、公式記録では安打にならないケースがあります。
NPBの公式記録員コラム「安打ってナンダ?」では、公認野球規則9.05に基づく安打の判定について解説しています。
公式記録員は、打者が一塁に到達したプレーについて、安打なのか失策なのかを判断する権限を持っています。この判定は打率だけでなく、各種の打撃記録にも影響します。
猛打賞にカウントされる安打基本的に、次の4種類はすべて1安打としてカウントします。
- 単打:1本
- 二塁打:1本
- 三塁打:1本
- 本塁打:1本
ここで注意したいのは、塁打数と安打数は別物だという点です。
例えば、本塁打を3本打った場合、塁打数は12ですが、安打数は3です。猛打賞の判定では3安打として扱います。
猛打賞にカウントされないプレー次のプレーは、基本的に安打として記録されません。
- 四球による出塁
- 死球による出塁
- 失策による出塁
- 野手選択による出塁
- 犠牲バント
- 犠牲フライ
例えば、2安打を放った選手が、さらにエラーで一塁に出塁したとしても、安打数は2本のままです。
四球や死球も出塁にはなりますが、安打には含まれません。
したがって、出塁率が高いことと猛打賞を達成することは、必ずしも一致しません。
公式記録員の判断が重要になる理由野球では、打者が一塁に到達したという結果だけで安打が決まるわけではありません。
例えば、内野ゴロを野手が処理し損ねて打者が一塁に残った場合、通常の守備ならアウトにできたと判断されれば失策になります。
一方、打球の勢いや不規則なバウンドなどによって野手が通常の守備では処理できなかったと判断されれば、安打になる場合があります。
NPB公式記録員の伊藤亮氏による解説でも、こうした判定が選手の打率や記録に大きく関係することが紹介されています。
猛打賞を判断するときも、テレビ画面で何度出塁したかを見るだけではなく、公式ボックススコアの安打数を確認することが確実です。
【徹底比較】猛打賞とマルチヒット・マルチ安打の違い
猛打賞と混同されやすい野球用語が「マルチヒット」と「マルチ安打」です。
両者の違いは、基本的に必要な安打数にあります。
マルチヒットとは、1人の打者が1試合で2本以上の安打を記録することです。
つまり、猛打賞はマルチヒットの条件にも含まれますが、マルチヒットを記録したからといって、必ず猛打賞になるわけではありません。
安打数による違いを一覧で比較| 1試合の安打数 | 呼び方 | マルチヒット | 猛打賞 |
|---|---|---|---|
| 0安打 | 無安打 | 該当しない | 該当しない |
| 1安打 | 1安打 | 該当しない | 該当しない |
| 2安打 | マルチヒット | 該当する | 該当しない |
| 3安打 | 猛打賞 | 該当する | 該当する |
| 4安打 | 猛打賞 | 該当する | 該当する |
| 5安打以上 | 猛打賞 | 該当する | 該当する |
このように、2安打と3安打の間に明確な境界があります。
マルチヒットとマルチ安打は同じ意味?基本的には同じ意味で使われます。
「マルチ」は英語のmultiに由来し、複数という意味です。
そのため、マルチヒットもマルチ安打も、1試合で2本以上の安打を記録したことを表します。
ただし、表現の使い方には違いがあります。
- マルチヒット:野球中継やスポーツ記事で広く使われる表現。
- マルチ安打:日本語として安打数を説明するときに使われる表現。
- 猛打賞:3安打以上を達成した打者を評価する日本の野球用語。
例えば、2安打を記録した選手には「マルチ安打を達成」と表現できますが、「猛打賞」とは表現できません。
反対に、3安打を記録した選手には「マルチヒット」と「猛打賞」の両方を使えます。
具体的な成績で考えると分かりやすい例えば、次の2人の選手がいたとします。
A選手:4打数2安打、1四球
B選手:5打数3安打
A選手はマルチヒットですが、猛打賞ではありません。
B選手は3安打なので、マルチヒットと猛打賞の両方に該当します。
ここで大切なのは、打席数や出塁回数ではなく、安打数そのものを比較することです。
【公式タイトルの真相】猛打賞はNPBの公式記録?非公式記録との違い
猛打賞について特に誤解されやすいのが、公式タイトルとしての位置づけです。
猛打賞は野球用語として広く定着していますが、NPBの連盟公式個人タイトルではありません。
つまり、首位打者や最多本塁打と同じように、シーズン終了時にリーグ全体で猛打賞の回数を競い、連盟が公式タイトルとして授与する制度とは異なります。
NPBの公式個人タイトルとの違い2026年度のNPB公式表彰ページでは、セ・リーグの打撃部門として次のタイトルが掲載されています。
- 首位打者賞
- 最多安打者賞
- 最多本塁打者賞
- 最多打点者賞
- 最高出塁率者賞
- 最多盗塁者賞
パ・リーグにも同様の打撃部門の公式表彰があります。
これらはシーズンを通じた成績に基づくタイトルです。
一方、猛打賞は1試合単位で3安打以上を達成したことを表す呼称です。
この違いから、猛打賞は「公式タイトルではないが、公式の安打記録を基準に成立する記録」と理解すると正確です。
猛打賞は非公式記録なのかここは少し整理が必要です。
猛打賞という名称自体は、NPBの連盟公式タイトルではありません。しかし、達成の根拠となる安打数は公式記録に基づいています。
そのため、猛打賞をすべて非公式な出来事として扱うのも正確ではありません。
例えば、公式記録で3安打と認定されれば、その試合の猛打賞に該当します。
新聞社やスポーツメディア、球団が猛打賞の回数を集計して紹介することもあります。
つまり、次の2つは分けて考える必要があります。
- 公式記録:試合で何安打を記録したか。
- 猛打賞という呼称:1試合3安打以上の活躍を表現する言葉。
猛打賞が連盟公式タイトルではないからといって、賞品や表彰が存在しないわけではありません。
実際に、2026年度の阪神タイガース公式サイトでは、JERAセ・リーグ公式戦の賞品提供一覧に「猛打賞」が掲載されています。
同一覧では、猛打賞の賞品提供企業としてauじぶん銀行株式会社とB-R サーティワン アイスクリーム株式会社が紹介されています。
さらに興味深いのは、同じ一覧に「マルチ安打賞」も別項目として掲載されていることです。
マルチ安打賞には、フランスベッド株式会社、キユーピー株式会社、大井川農業協同組合が賞品提供企業として記載されています。
この事例から分かるのは、猛打賞やマルチ安打賞が球団単位のスポンサー企画として運用される場合があるということです。
ただし、こうした賞品提供は球団や試合ごとの企画であり、NPB全体に共通する連盟公式タイトルとは異なります。
【MLBとの違い】メジャーリーグでも猛打賞は使われる?
日本のプロ野球では一般的な猛打賞ですが、MLBでは用語の使われ方が異なります。
メジャーリーグでは、複数安打を表す「Multi-hit」や「Multi-hit game」という表現が使われます。
これは1試合で2本以上の安打を記録したことを指す広いカテゴリーです。
MLBのマルチヒットは2安打以上が基本MLBの成績表や英語圏の野球統計では、複数安打を記録した試合をmulti-hit gamesとして扱います。
その中で、2安打、3安打、4安打といった内訳を区別する集計も行われています。
したがって、3安打を記録した選手もマルチヒットの対象です。
ただし、日本の猛打賞と同じ名称の公式タイトルが存在するという意味ではありません。
3安打の試合を英語で説明する場合には、three-hit gameなどの表現が使われます。
MLBでも安打の種類は共通しているMLB公式用語集では、安打を次の4種類に分類しています。
- Single:単打
- Double:二塁打
- Triple:三塁打
- Home Run:本塁打
また、エラーや野手選択によって出塁した場合は、通常、安打として記録されません。
この基本的な考え方は日本のプロ野球とも共通しています。
つまり、日米で違いがあるのは安打の基本的な数え方というより、複数安打を表す言葉や賞の位置づけです。
日本では「猛打賞」という独自の呼称が定着しているため、NPBの試合を観戦するときには覚えておきたい用語です。
【プロの結論】猛打賞の記録回数から分かる選手の打撃力
猛打賞は単に1試合で3本以上の安打を打ったという記録ですが、選手の打撃能力を考えるうえでも興味深い指標です。
特に、シーズンを通じた猛打賞の回数を見ると、安定して安打を積み重ねている選手を把握しやすくなります。
1試合3安打以上を何度も達成する難しさ1試合で3安打を記録するには、複数の打席で安打を放つ必要があります。
例えば、3打数3安打なら打率10割、5打数3安打なら打率6割です。
ただし、試合ごとの打席数は異なり、相手投手や試合展開にも左右されます。
そのため、猛打賞の回数が多い選手は、複数の打席で安打を生み出す機会を継続的に作っていることが分かります。
猛打賞の回数とシーズン最多記録猛打賞は1試合単位の記録ですが、シーズンを通して何回達成したかを集計することもできます。
スポーツ報道で紹介されてきたNPBのシーズン最多記録は27回です。
2010年の西岡剛選手(千葉ロッテマリーンズ)と、2015年の秋山翔吾選手(埼玉西武ライオンズ)が記録しています。
日刊スポーツは2015年9月30日、秋山選手が1試合5安打を放ち、シーズン27度目の猛打賞で西岡選手の記録に並んだことを報じました。
この記録が示しているのは、猛打賞が一度の爆発的な活躍だけでなく、シーズンを通じた安打の積み重ねによって評価される側面も持つということです。
猛打賞だけで選手の総合的な実力は判断できない一方で、猛打賞の回数だけで打者の実力をすべて評価することはできません。
例えば、1試合で3安打を記録しても、すべて単打で打点がゼロというケースはあります。
逆に、1安打しか打っていなくても、その1本が満塁本塁打であればチームに大きな得点をもたらします。
そのため、選手の打撃成績を評価するときには、次の指標も合わせて見ることが大切です。
- 打率:打数に対してどれだけ安打を記録したか。
- 出塁率:安打や四球などでどれだけ出塁したか。
- 長打率:打数に対する塁打数の割合。
- 打点:打者が何人の走者を生還させたか。
- OPS:出塁率と長打率を合計した指標。
猛打賞は試合ごとの安打を評価する言葉であり、これらの指標とは異なる角度から選手の活躍を捉えています。
【猛打賞】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:猛打賞は何安打から達成できますか?
A1:1試合で3本以上の安打を記録すると猛打賞になります。3安打だけでなく、4安打や5安打以上でも成立します。
Q2:2安打と四球1つでも猛打賞になりますか?
A2:なりません。四球は出塁として記録されますが、安打には含まれません。安打数が2本なので、マルチヒットには該当しますが猛打賞には届きません。
Q3:本塁打も猛打賞の安打数に含まれますか?
A3:含まれます。単打、二塁打、三塁打、本塁打はそれぞれ1安打として数えます。例えば、単打2本と本塁打1本なら合計3安打で猛打賞です。
Q4:猛打賞はNPBの公式タイトルですか?
A4:いいえ。連盟公式の個人タイトルではありません。ただし、球団独自の賞品提供やスポンサー賞として猛打賞が設けられるケースはあります。
Q5:マルチヒットと猛打賞は同じ意味ですか?
A5:完全に同じではありません。マルチヒットは2安打以上、猛打賞は3安打以上を指します。3安打以上なら両方に該当します。
Q6:MLBにも猛打賞という制度がありますか?
A6:日本の猛打賞と同じ名称の連盟公式タイトルとしては扱われていません。MLBではmulti-hit gameなどの表現で複数安打を記録した試合を表します。
猛打賞とは、1人の打者が1試合で3本以上の安打を記録することです。読み方は「もうだしょう」で、単打・二塁打・三塁打・本塁打のすべてが1安打としてカウントされます。
最後に、押さえておきたいポイントを整理します。
- 猛打賞は1試合3安打以上で成立する。
- 2安打以上はマルチヒット、3安打以上は猛打賞にも該当する。
- マルチヒットとマルチ安打は基本的に同じ意味。
- 四球、死球、失策、野手選択などは安打数に含まれない。
- 猛打賞はNPBの連盟公式個人タイトルではない。
- 球団独自のスポンサー賞として賞品が提供される場合がある。
- MLBではmulti-hit gameなどの表現が使われる。
【プロの結論】
猛打賞を理解するうえで最も重要なのは、「複数回出塁したこと」と「3本以上の安打を記録したこと」を混同しないことです。
また、猛打賞という名称が連盟公式タイトルではないことと、その達成を裏付ける安打数が公式記録であることも区別する必要があります。
野球中継や試合速報を見る際には、まずボックススコアの安打数を確認してみてください。2安打ならマルチヒット、3安打以上なら猛打賞。この違いを理解するだけで、選手の活躍や試合結果をより正確に読み取れるようになります。
主な根拠資料
- 小学館「デジタル大辞泉」猛打賞の意味・読み方
- NPB公式記録員コラム「安打ってナンダ?」
- NPB 2026年度セ・パ表彰選手一覧
- 阪神タイガース公式サイト「2026年度公式戦賞品提供」
- MLB公式用語集「Hit」
- Full-Count「猛打賞」
- 日刊スポーツ「西武秋山、シーズン猛打賞回数も最多タイ」(2015年9月30日)