一日警察署長は、警察署が実施する広報活動や地域安全キャンペーンに参加し、住民に交通安全や防犯への協力を呼びかける役割を担います。
一般的には、警察署長から委嘱を受けた著名人や地域ゆかりの人物が、式典への出席、スピーチ、パレード、啓発チラシの配布などを行います。活動時間はイベントによって異なり、必ずしも丸一日勤務するわけではありません。
特に大切なのは、警察官が伝えるだけでは届きにくい層にも、著名人の知名度や親しみやすさを通じてメッセージを届けることです。
主な仕事内容は5種類- 委嘱式への出席:警察署長から委嘱状やたすきを受け取り、就任のあいさつをする。
- 交通安全キャンペーン:歩行者の安全、自転車の交通ルール、ヘルメット着用、飲酒運転防止などを呼びかける。
- 防犯キャンペーン:特殊詐欺、SNS型投資詐欺、闇バイト、子どもや女性を狙う犯罪などへの注意を促す。
- 地域住民との交流:トークショー、交通安全クイズ、パレード、記念撮影などを通じて住民と交流する。
- 啓発活動への参加:チラシや啓発グッズの配布、地域安全宣言、街頭での呼びかけなどを行う。
活動の内容は、委嘱する警察署やキャンペーンの目的によって変わります。交通安全運動なら事故防止、防犯キャンペーンなら特殊詐欺や犯罪被害の予防が中心です。
委嘱式では何が行われる?一日警察署長の活動で象徴的なのが「委嘱式」です。
委嘱式とは、警察署側が対象者に一日警察署長としての活動を依頼し、正式にその役割を委ねるセレモニーです。一般的には、警察署長から委嘱状とたすきが手渡され、本人があいさつや安全宣言を行います。
2026年10月9日に川崎アゼリアで開催された神奈川県・神奈川県警察主催の出陣式でも、川崎警察署長から三浦大輔さんに委嘱状とたすきが授与されました。その後、安全・安心まちづくり宣言、写真撮影、トークショーへと進んでいます。
このように委嘱式は単なる記念撮影ではなく、警察と地域社会が一緒になって安全活動を始めるための広報上の節目になっています。
本物の警察署長との違い一日警察署長と実際の警察署長は、名前こそ似ていますが、役割も責任も異なります。
警察法第53条では、警察署長が警察署に置かれ、管轄区域内の警察事務を処理するとともに、所属する警察職員を指揮監督することが定められています。
また、犯罪捜査規範第18条では、警察署長が担当する警察署の犯罪捜査を指揮監督する立場にあることが規定されています。
一方、一日警察署長は広報・啓発活動のための一時的な委嘱です。警察組織の正式な管理職に就任するものではありません。
| 比較項目 | 一日警察署長 | 実際の警察署長 |
|---|---|---|
| 役割 | 広報・啓発活動 | 警察署の運営・管理 |
| 就任期間 | イベントに応じた一時的な期間 | 正式な任命期間 |
| 主な活動 | 式典、講演、キャンペーン | 警察業務全般の指揮監督 |
| 捜査指揮 | 権限なし | 法令に基づく権限あり |
| 警察官への指揮 | 権限なし | 所属警察職員を指揮監督 |
| 法的な立場 | 広報活動の委嘱を受けた人 | 正式な警察職員 |
つまり、一日警察署長は警察署長の仕事を代行する人ではありません。警察の活動を住民に伝えるため、期間限定で広報上の役割を担う人です。
【一日警察署長に選ばれる人】任命理由と人選の基準とは?

一日警察署長に選ばれるのは、テレビや映画で活躍する俳優、タレント、アナウンサー、スポーツ選手、歌手、お笑い芸人などです。
ただし、知名度だけが選考の基準になるわけではありません。イベントのテーマや地域との関係、住民への伝わりやすさなど、複数の要素が人選に関係します。
選ばれる人に共通する4つの特徴1.幅広い世代に知られている
知名度の高いタレントや俳優は、普段は警察の広報に関心を持たない人にもイベントの存在を知らせるきっかけになります。
テレビ出演やSNSなどを通じて情報が広がれば、イベントに参加していない人にも交通安全や防犯のメッセージが届きます。
2.キャンペーンのテーマと人物のイメージが合っている
交通安全ならスポーツ選手や親しみやすいタレント、防犯なら幅広い世代に信頼感を持たれる俳優や著名人など、活動内容と人物の特徴を結びつける人選が考えられます。
例えば、野球界で長く活躍してきた三浦大輔さんは、地域防犯を呼びかけるイベントに参加しました。
3.地域とのつながりがある
地元出身の芸能人や地域にゆかりのある人物は、住民にとって身近な存在です。
2026年10月8日に岡山西警察署の一日警察署長を務めた、お笑いトリオ「ハナコ」の秋山寛貴さんは岡山市出身です。地元で育った人物が地域の防犯活動に参加することで、地元住民との接点が生まれます。
4.公的な啓発活動にふさわしい発信力がある
一日警察署長は、警察の制服を着て公的なメッセージを伝える役割です。そのため、イベントの趣旨を理解し、住民に分かりやすく情報を届けられることも重要な要素です。
一日警察署長に向いている人物とは?人選の傾向を整理すると、次のような人物が候補になりやすいと考えられます。
| 人物のタイプ | 起用される理由 | 適した活動 |
|---|---|---|
| 俳優・タレント | 知名度と発信力 | 防犯・特殊詐欺対策 |
| アナウンサー | 説明力と親しみやすさ | 交通安全・地域広報 |
| スポーツ選手 | 健康的で前向きなイメージ | 交通安全・地域防犯 |
| 歌手・アイドル | ファン層への情報発信 | 若者向け啓発 |
| お笑い芸人 | 場を盛り上げる力 | 防犯クイズ・交通安全 |
| 地元出身の著名人 | 地域との結びつき | 地域安全運動 |
一方で、警察署が公表する選考基準は全国共通ではありません。誰でも応募できる全国統一の公募制度があるわけでもなく、実際の人選は各警察署や関係機関のイベント企画によって異なります。
したがって、単純に人気ランキング上位の芸能人が選ばれる仕組みではありません。知名度に加えて、その地域で何を伝えたいのかが人選を考えるうえでのポイントになります。
【2026年最新】一日警察署長の歴代事例と警視庁・神奈川県警察の活動
2026年は、交通安全だけでなく特殊詐欺やSNS型投資詐欺など、犯罪被害の防止を目的とした一日警察署長の活動も報じられています。
警視庁や神奈川県警察の事例を中心に見ると、著名人の個性を生かしながら、それぞれの地域で問題になっている犯罪や交通事故に合わせた活動が行われています。
2026年の注目事例一覧| 日付 | 人物 | 警察署・地域 | 主な活動 |
|---|---|---|---|
| 3月5日 | 玉鷲関 | 大阪・天王寺警察署 | 防火・防犯啓発 |
| 9月13日 | ウエンツ瑛士さん | 警視庁・神田警察署 | 自転車の交通ルール、ヘルメット着用 |
| 10月5日 | 内藤剛志さん | 警視庁・武蔵野警察署 | 特殊詐欺・SNS型投資詐欺対策 |
| 10月7日 | マツコ・デラックスさん | 警視庁・渋谷警察署 | 特殊詐欺被害防止 |
| 10月8日 | 秋山寛貴さん | 岡山西警察署 | 地域防犯・特殊詐欺対策 |
| 10月9日 | 三浦大輔さん | 神奈川県警察・川崎警察署 | 地域防犯・ながら見守り |
| 10月10日 | 千葉由佳さん | 警視庁・練馬警察署 | 特殊詐欺被害防止 |
※2026年に報道・公表された主な事例。全国の全就任者を網羅した一覧ではありません。
大阪府警察の公式活動記録では、3月5日に大相撲の玉鷲関が天王寺警察署の一日警察署長と一日消防署長を兼ね、防火・防犯イベントに参加したことも紹介されています。
2026年の事例からは、警察の広報活動が著名人の知名度を活用するだけでなく、特殊詐欺や自転車事故といった具体的な地域課題に結びついていることが分かります。
警視庁の一日警察署長:ウエンツ瑛士さんが交通安全を呼びかけ2026年9月13日、タレントのウエンツ瑛士さんが警視庁神田警察署の一日警察署長を務めました。
このイベントは、9月21日から始まる秋の全国交通安全運動を前に開催されたものです。ウエンツさんは東京都千代田区で地域住民らとともに交通ルールを学び、自転車の正しい走行方法やヘルメットの着用を呼びかけました。
日テレNEWS NNNによると、参加者は約200人。道路標識や交通ルールについてクイズ形式で学ぶ企画も行われました。
また、TBS NEWS DIGの報道では、ウエンツさんが道路標識について改めて勉強したいという趣旨のコメントをしており、イベントを通じて本人も交通ルールを再確認する機会になったことが伝えられています。
この事例の特徴は、警察官が一方的に交通ルールを説明するのではなく、著名人と参加者が一緒に学ぶ形式を採用したことです。特に自転車の交通ルールは、日常生活に直結するテーマであり、幅広い世代に伝える意義があります。
神奈川県警察の一日警察署長:三浦大輔さんが地域防犯に参加2026年10月9日には、横浜DeNAベイスターズアンバサダーの三浦大輔さんが川崎警察署の一日警察署長に就任しました。
会場は川崎市川崎区の川崎アゼリア「サンライト広場」。神奈川県と神奈川県警察が主催する「令和8年度安全・安心まちづくり旬間出陣式」の一環として実施されました。
この活動は、10月11日から20日までの安全・安心まちづくり旬間に合わせたものです。同旬間では、子どもや女性を対象とした犯罪、高齢者などを狙う特殊詐欺への注意喚起を行い、県民全体の防犯意識を高めることを目的としています。
委嘱式では、川崎警察署長から三浦さんに委嘱状とたすきが授与されました。その後、安全・安心まちづくり宣言を行い、トークショーでは日常生活の中でできる「ながら見守り」の大切さを伝えています。
「ながら見守り」とは、特別なパトロール活動をしなくても、買い物や犬の散歩、ウォーキングなどの日常行動の中で周囲に気を配り、地域の安全を見守る取り組みです。
さらに、特殊詐欺対策として詐欺電話をブロックするアプリの活用も呼びかけました。警察と住民が一体となって防犯活動を進めるという、地域密着型の企画です。
神奈川県の開催報告では、川崎防犯協会への防犯のぼり旗の贈呈や、地域団体による決意表明も紹介されています。三浦さん個人の発信にとどまらず、地域の防犯関係者が一緒に参加した点も特徴です。
2026年の活動から見える一日警察署長の変化2026年の活動を比較すると、交通安全と防犯ではイベントの構成が異なります。
ウエンツ瑛士さんのケースでは、自転車や道路標識など、日常の交通行動をテーマにしたクイズ形式の啓発が中心でした。
一方、三浦大輔さんのケースでは、特殊詐欺や日常的な見守りなど、地域住民が自分で実践できる防犯行動が中心になっています。
さらに10月には、マツコ・デラックスさんが渋谷警察署、内藤剛志さんが武蔵野警察署の一日警察署長として、それぞれ特殊詐欺などへの注意を呼びかけました。
このように、2026年の一日警察署長は、制服姿の著名人を見せるだけのイベントではありません。地域ごとの課題を、住民が理解しやすい言葉や参加型企画に置き換える役割を担っています。
【一日警察署長の権限と報酬】無償なのか?ギャラは支払われる?
一日警察署長について検索されることが多いのが、「本当に警察官と同じ権限を持つのか」「出演料や報酬はいくらなのか」という疑問です。
一日警察署長に逮捕や捜査の権限はある?答えは、ありません。
一日警察署長は警察官として採用された人ではなく、警察署の広報活動に協力するために委嘱された人です。
そのため、次のような警察官・警察署長の職務上の権限は与えられません。
- 容疑者を逮捕する権限
- 犯罪捜査を指揮する権限
- 警察官に職務命令を出す権限
- 交通違反の取締りを行う権限
- 警察署の業務や人事を決定する権限
イベントで警察官の制服を着用したり、警察署長のたすきを掛けたりしていても、実際の警察官になるわけではありません。
制服姿はあくまで啓発活動の演出上のものです。見た目の肩書と法律上の権限は明確に区別する必要があります。
一日警察署長の報酬・ギャラはいくら?一日警察署長の報酬については、全国共通の固定料金や公定ギャラが定められているわけではありません。
実際の待遇は、起用する団体、イベントの契約形態、出演者との取り決めなどによって異なります。
元警察官への取材を掲載したFNNプライムオンラインの解説では、著名人の中にはボランティアとして協力する人もおり、謝礼や交通費程度の支給にとどまるケースもあると紹介されています。
一方で、芸能人や著名人の出演条件は個別の契約によって決まるため、すべての一日警察署長が無償で活動しているわけでもありません。
2026年の三浦大輔さんやウエンツ瑛士さんの活動についても、報道されたイベント内容だけでは個別の報酬額は判断できません。
報酬がなくても一日警察署長を引き受ける理由著名人側にも、金銭以外のメリットがあります。
まず、地域社会への貢献という社会的意義があります。交通事故や特殊詐欺の被害防止を呼びかけることは、知名度を社会に還元する機会になります。
また、警察や地域団体との協力を通じて、普段の芸能活動とは異なる社会貢献の実績にもつながります。
一方、警察側にとっては、イベントの集客力や報道への露出を通じて啓発活動を広げられるメリットがあります。
つまり、一日警察署長は警察と著名人の双方に一定の利点がある広報活動です。ただし、その本来の目的は芸能人の宣伝ではなく、住民の安全意識を高めることにあります。
【歴代の一日警察署長】芸能人・スポーツ選手の起用事例
一日警察署長には、長年にわたってさまざまな分野の著名人が起用されてきました。
警察署ごとの活動記録や報道を確認すると、俳優、歌手、タレント、スポーツ選手、地元の著名人など、起用される人物は多岐にわたります。
過去から2026年までの主な事例
大原優乃さん・ピコ太郎さん
2025年4月・警視庁三田警察署
特殊詐欺撲滅と交通安全を呼びかけるキャンペーンに参加。大原さんが一日警察署長、ピコ太郎さんが一日警察副署長を務めました。
はるな愛さん
2025年4月・警視庁高輪警察署
春の交通安全運動に合わせて2年連続で一日警察署長を務め、歩行者の安全や交通マナーを呼びかけました。
玉鷲関
2026年3月・大阪府天王寺警察署
一日警察署長と一日消防署長を兼ね、防火・防犯イベントに参加。特殊詐欺被害防止などを呼びかけました。
ウエンツ瑛士さん
2026年9月・警視庁神田警察署
秋の全国交通安全運動を前に、自転車のルールやヘルメット着用を啓発しました。
三浦大輔さん
2026年10月・神奈川県警察川崎警察署
安全・安心まちづくり旬間に合わせ、特殊詐欺対策やながら見守りの重要性を呼びかけました。
これらは全国の歴代就任者の一部です。大阪府警察の公式サイトにも、俳優の松平健さん、梅沢富美男さん、山下幸輝さん、歌手の水森かおりさん、お笑いコンビのミルクボーイなど、さまざまな人物の活動記録が掲載されています。
歴代の就任者を調べる場合は、芸能ニュースだけでなく、都道府県警察や各警察署の公式活動記録も参考になります。イベント名や実施日、委嘱した警察署まで確認すると、同姓同名の人物や別の地域の活動との混同を避けやすくなります。
【一日警察署長】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:一日警察署長になるにはどうすればいい?
A1:一般的には、警察署や関係団体が実施するイベントの趣旨に合わせて人物を選び、委嘱します。全国共通の資格試験や一般公募制度があるわけではありません。知名度、地域とのつながり、発信力などが人選に関係します。
Q2:一日警察署長は本物の警察官なの?
A2:いいえ。警察官として採用されたわけではなく、広報・啓発活動を行うために委嘱された人です。逮捕、捜査指揮、交通取締りなどの警察権限はありません。
Q3:一日警察署長の報酬はいくら?
A3:全国一律の報酬額はありません。無償で協力するケースや、謝礼・交通費などが支給されるケースがあります。著名人の場合も個別の契約条件によって異なります。
一日警察署長は、警察署長の代わりに警察業務を行う役職ではありません。著名人や地域ゆかりの人物が一時的に委嘱を受け、交通安全や防犯に関するメッセージを広く届けるための広報活動です。
2026年の事例では、ウエンツ瑛士さんが交通ルールの再確認を呼びかけ、三浦大輔さんが地域の防犯やながら見守りを啓発しました。さらに、マツコ・デラックスさんや内藤剛志さんも特殊詐欺対策の活動に参加しています。
これらの事例に共通しているのは、著名人の知名度をきっかけに、住民が自分自身の生活を振り返り、安全について考える機会をつくっていることです。
一日警察署長のニュースを見るときは、誰が制服を着たのかだけでなく、どの警察署が、何を目的に委嘱し、どのような行動を呼びかけたのかに注目すると、その活動の本当の意味が分かります。
一日警察署長の価値は、肩書や制服ではなく、その一日を通じて地域にどれだけ具体的な安全行動を広げられるかにあります。
交通ルールを守る、知らない相手からの電話やメールを疑う、不審な連絡は家族や警察に相談する、日常生活の中で地域を見守る。こうした小さな行動につながってこそ、一日限りの啓発活動は大きな意味を持ちます。