2026年現在、大相撲でブルガリア出身の力士として知られるのが、元大関・琴欧洲勝紀(ことおうしゅう・かつのり)と元関脇・碧山亘右(あおいやま・こうすけ)だ。ともに母国で培った競技経験を武器に来日し、日本の相撲界で三役以上に昇進した実力者である。
琴欧洲は2008年5月場所で幕内最高優勝を達成し、ヨーロッパ出身力士として初めて賜杯を手にした。一方、碧山は幕内在位71場所、通算613勝という長い現役生活を送り、2024年9月に引退した。現在、琴欧洲は鳴戸親方として鳴戸部屋を率い、碧山は岩友親方として春日野部屋で後進の指導にあたっている。
日本相撲協会の公式プロフィール、年寄情報、部屋紹介、過去の報道を照らし合わせると、2人の歩みには共通点と明確な違いがある。2026年11月時点の現役力士の在籍状況も含め、初土俵から引退後までを整理する。
・要点1: ブルガリア出身の代表的な力士は、元大関・琴欧洲と元関脇・碧山の2人。
・要点2: 琴欧洲は幕内最高優勝1回、碧山は幕内在位71場所・通算613勝を記録した。
・要点3: 2026年現在、琴欧洲は鳴戸部屋の師匠、碧山は春日野部屋付きの岩友親方として活動している。
・要点4: 日本相撲協会の出身地別検索では、ブルガリア出身の現役力士は確認できない。
【2026年最新】ブルガリア出身の現役力士はいる?歴代の代表選手を整理

ブルガリアはヨーロッパにおけるレスリングの強豪国として知られ、相撲との接点も持つ国だ。
日本相撲協会の記録やブルガリアに関する公的資料をたどると、日本の大相撲でブルガリア出身の力士として特に大きな足跡を残したのが、琴欧洲と碧山である。
琴欧洲は2002年11月場所で初土俵を踏んだブルガリア出身力士の先駆者。続く2009年7月場所には、後輩にあたる碧山が初土俵を踏んだ。
2人は単に外国出身の力士として活躍しただけではない。大関と関脇という高い地位まで昇進し、日本の相撲界に長く貢献した点が特徴だ。
2026年11月時点の現役力士の状況日本相撲協会の公式サイトにある「力士を探す」では、出身地をブルガリアに指定した力士一覧に該当者が表示されない。
したがって、2026年11月時点では、ブルガリア出身の現役力士は公式検索上確認できない状況だ。
一方、引退した2人は角界を離れたわけではない。ともに日本相撲協会に年寄として所属し、指導者の立場から大相撲を支えている。
なお、ブルガリア出身の力士がいないことと、ブルガリア出身の親方がいないことは別の話だ。現在も鳴戸親方と岩友親方が角界に在籍している。
【琴欧洲と碧山の経歴】初土俵から最高位までの歩みを比較
2人の経歴を理解するには、出身地だけでなく、来日した時期や所属部屋、昇進の過程を比較すると分かりやすい。
元大関・琴欧洲勝紀のプロフィール琴欧洲勝紀は1983年2月19日生まれ。ブルガリアのヴェリコ・タルノヴォ出身で、本名は安藤カロヤン。
身長202cm、体重155kgという恵まれた体格を持ち、右四つからの寄りや上手投げを得意とした。
来日前はレスリングに取り組んでおり、母国で培った身体能力を生かして日本の相撲界に挑戦した。
2002年11月場所に佐渡ヶ嶽部屋から初土俵を踏み、2004年9月場所には新入幕。2005年3月場所に新三役となり、2006年1月場所には大関へ昇進した。
ヨーロッパ出身力士として初めて大関に昇進したことは、琴欧洲の大きな功績である。
2008年5月場所には幕内最高優勝を達成。外国出身力士の活躍が広がるなかでも、ヨーロッパ出身者による初優勝という歴史的な記録を残した。
元関脇・碧山亘右のプロフィール碧山亘右は1986年6月19日生まれ。ブルガリアのヤンボル出身で、本名は古田亘右。
身長191cm、体重181kgの大型力士で、力強い突きや押しを持ち味とした。
琴欧洲と同じくレスリング経験があり、琴欧洲の紹介をきっかけに来日。2009年7月場所に田子ノ浦部屋から初土俵を踏んだ。
2011年7月場所に新十両、同年11月場所に新入幕を果たし、2012年9月場所には新三役へ昇進。最高位は関脇だった。
師匠の急逝に伴い、2012年2月には春日野部屋へ転籍。その後も幕内で長く活躍し、力強い突き押し相撲で存在感を示した。
2人の主要経歴を一覧で比較| 比較項目 | 琴欧洲勝紀 | 碧山亘右 |
|---|---|---|
| 出身国 | ブルガリア | ブルガリア |
| 出身地 | ヴェリコ・タルノヴォ | ヤンボル |
| 生年月日 | 1983年2月19日 | 1986年6月19日 |
| 初土俵 | 2002年11月 | 2009年7月 |
| 初入幕 | 2004年9月 | 2011年11月 |
| 所属部屋 | 佐渡ヶ嶽部屋 | 田子ノ浦部屋→春日野部屋 |
| 最高位 | 大関 | 関脇 |
| 幕内最高優勝 | 1回 | 0回 |
| 敢闘賞 | 3回 | 4回 |
| 技能賞 | 0回 | 1回 |
| 引退 | 2014年3月場所 | 2024年9月場所 |
| 引退後の年寄名 | 鳴戸 | 岩友 |
| 現在の所属 | 鳴戸部屋 | 春日野部屋 |
※経歴・戦歴は日本相撲協会の公式力士プロフィールおよび年寄プロフィールに基づく。
2人の違いは、最高位だけではない。琴欧洲は短期間で大関まで駆け上がり、優勝という頂点を経験した。一方の碧山は、幕内で長期間にわたって相撲を取り続けた。
それぞれ異なる形でブルガリア出身力士の存在感を示したのである。
【琴欧洲の成績】大関昇進と2008年の幕内最高優勝が残した記録
琴欧洲の現役時代を語るうえで欠かせないのが、2006年の大関昇進と2008年5月場所の優勝だ。
大関昇進は2006年1月場所2002年11月場所に初土俵を踏んだ琴欧洲は、順調に番付を上げ、2006年1月場所に大関へ昇進した。
ヨーロッパ出身力士として初の大関という記録は、当時の相撲界において大きな意味を持っていた。
身長202cmという長身を生かした右四つの相撲は、相手に十分な体勢を作らせない強みがあった。
特に懐の深さを生かした寄りは、琴欧洲の代表的な武器だった。
2008年5月場所で幕内最高優勝琴欧洲の最大の実績は、2008年5月場所の幕内最高優勝である。
5月24日の14日目、関脇・安馬を破って13勝1敗とし、千秋楽を待たずに優勝を決めた。
日本相撲協会の歴代記録と当時の報道に残るこの優勝は、ヨーロッパ出身力士として初めての幕内優勝だった。
また、琴欧洲は幕内優勝以外にも十両優勝1回、幕下優勝1回、序ノ口優勝1回を記録している。
琴欧洲の公式通算成績日本相撲協会の公式プロフィールによる主な戦歴は次のとおり。
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| 生涯戦歴 | 537勝337敗63休 |
| 出場場所数 | 68場所 |
| 幕内戦歴 | 466勝322敗63休 |
| 幕内在位 | 57場所 |
| 大関在位 | 47場所 |
| 幕内優勝 | 1回 |
| 十両優勝 | 1回 |
| 幕下優勝 | 1回 |
| 殊勲賞 | 2回 |
| 敢闘賞 | 3回 |
| 金星 | 0個 |
特筆すべきなのは、大関在位47場所という実績だ。
大関は横綱に次ぐ地位であり、勝ち越しを続けるだけでなく、常に上位力士との対戦が求められる。
琴欧洲はその厳しい環境で長期間にわたり土俵を務めた。
優勝1回という数字だけでは、彼が角界で積み上げた実績の全体像は見えてこない。大関として47場所を戦い抜いたことも、評価すべき重要な記録である。
【琴欧洲の引退の経緯と現在】鳴戸親方・鳴戸部屋での活動
琴欧洲は2014年3月場所を最後に現役を引退した。
引退の背景には、長年の負傷と体力・精神面の限界があった。
引退の直接的なきっかけは左肩の負傷2014年3月場所、琴欧洲は序盤から苦しい相撲が続き、2日目から9連敗を喫した。
以前から負傷していた左肩の状態も悪化し、11日目に休場。その後、3月20日に日本相撲協会へ引退届を提出した。
当時の日刊スポーツの報道によると、本人は精神的にも体力的にも限界だったと説明している。
長年の膝や肘の負傷も重なり、思うように相撲を取れなくなっていた。
大関として活躍した力士であっても、故障によって本来の力を発揮できなくなれば、現役を続けることは難しい。
琴欧洲の引退は、そうした長年の負担が積み重なった結果だった。
2015年に鳴戸親方を襲名、2017年に鳴戸部屋を設立引退後の琴欧洲は親方として角界に残った。
2015年2月に15代鳴戸を襲名し、2017年4月には佐渡ヶ嶽部屋から独立して鳴戸部屋を設立した。
ヨーロッパ出身者として初めて相撲部屋の師匠となったことも、琴欧洲の新たな功績である。
2026年現在、日本相撲協会の年寄プロフィールには鳴戸勝紀として掲載されており、所属部屋も鳴戸部屋となっている。
鳴戸部屋で取り組む後進の育成鳴戸部屋の公式サイトでは、師匠自身がブルガリア国立スポーツ大学や日本体育大学で学んだ経験を生かし、伝統的な稽古に取り組む姿勢を紹介している。
琴欧洲自身が外国から日本に渡り、大関まで昇進した経験は、海外出身の入門希望者にとっても参考になるはずだ。
現役時代の実績を指導に生かしながら、次世代の関取を育てることが、現在の鳴戸親方の重要な役割となっている。
【碧山の引退の経緯と現在】岩友親方として春日野部屋で指導
碧山は2024年9月場所を最後に現役を引退した。
琴欧洲より約10年長く土俵に立ち続けた碧山は、幕内で71場所を戦った大型力士だった。
2024年9月場所の負け越しが引退の転機に碧山は2024年9月場所、東十両13枚目で5勝10敗という成績に終わった。
この結果、翌場所の幕下転落が確実な状況となった。
加えて、左膝には以前から負傷を抱えており、2024年初場所では右膝も負傷していた。
スポニチなどの報道によると、両膝の状態が思わしくないなかで土俵に立ち続けていたことが、引退を決断する背景となった。
2024年9月24日、日本相撲協会は理事会で碧山の引退と年寄「岩友」の襲名を承認した。
これにより、約15年にわたる現役生活に幕を下ろした。
碧山の通算成績は613勝607敗35休日本相撲協会の公式プロフィールによる碧山の記録は以下のとおり。
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| 生涯戦歴 | 613勝607敗35休 |
| 出場場所数 | 90場所 |
| 幕内戦歴 | 504勝528敗33休 |
| 幕内在位 | 71場所 |
| 最高位 | 関脇 |
| 幕内優勝 | 0回 |
| 幕下優勝 | 1回 |
| 序二段優勝 | 1回 |
| 序ノ口優勝 | 1回 |
| 敢闘賞 | 4回 |
| 技能賞 | 1回 |
| 金星 | 1個 |
幕内最高優勝こそなかったものの、敢闘賞4回、技能賞1回、金星1個という実績を残している。
特に注目したいのが、幕内在位71場所という数字だ。
幕内は相撲界の上位力士が集まる階級であり、長期間在籍するには安定した実力が求められる。
碧山は激しい突き押しを武器に、長年にわたり幕内で戦い続けた。
2026年現在は岩友親方として春日野部屋に所属引退後の碧山は年寄「岩友」を襲名した。
2026年現在、日本相撲協会の年寄プロフィールには岩友亘右として掲載されている。
所属は春日野部屋で、部屋の公式紹介でも年寄として名前が確認できる。
ここで注意したいのは、岩友親方は春日野部屋の師匠ではなく、部屋付きの親方という点だ。
春日野部屋の師匠は春日野親方(元関脇・栃乃和歌)であり、岩友親方はその部屋に所属して後進の指導に携わる立場にある。
現役時代に培った大型力士としての経験や突き押しの技術を、若い力士に伝えていくことが期待されている。
【プロの視点】琴欧洲と碧山の違いから見るブルガリア出身力士の功績
琴欧洲と碧山は、ともにブルガリアから来日して大相撲で成功した力士だが、その功績は同じではない。
比較すると、琴欧洲は最高位と優勝実績、碧山は幕内での継続的な活躍に強みがある。
最高位と優勝実績では琴欧洲が上回る琴欧洲は大関まで昇進し、幕内最高優勝も経験した。
ヨーロッパ出身初の大関、ヨーロッパ出身初の幕内優勝という2つの歴史的な記録を持っている。
一方、碧山の最高位は関脇。幕内優勝はなかったものの、三役経験と長い幕内在位を誇った。
したがって、最高位や優勝実績を基準にするなら琴欧洲が上回る。
通算勝利数と幕内在位では碧山が上回る生涯戦歴を比較すると、碧山は613勝、琴欧洲は537勝。
碧山のほうが76勝多い。
ただし、碧山は90場所、琴欧洲は68場所と、現役生活の長さに大きな違いがある。
碧山は長期間にわたり幕内で戦い続けたため、通算勝利数も積み上がった。
単純に通算勝利数だけで力士としての実力を判断するのは適切ではない。
最高位、優勝、三賞、幕内在位、休場数などを合わせて評価する必要がある。
2人の存在が示した外国出身力士の可能性琴欧洲と碧山の共通点は、母国での競技経験を日本の相撲に生かしたことだ。
また、琴欧洲が先に角界で実績を残し、その紹介によって碧山が来日したというつながりもある。
これは外国出身力士の受け入れにおいて、競技経験だけでなく、先輩力士や所属部屋との関係が大きな意味を持つことを示している。
加えて、2人とも現役引退後に親方として角界に残った。
外国から日本へ渡ってきた力士が、現役時代の競技実績だけでなく、指導者として次世代の育成にも関わっている点は見逃せない。
ブルガリア出身力士の歴史は、単なる外国出身力士の活躍記録ではなく、国境を越えた競技経験が日本の伝統文化の継承につながった事例でもある。
【ブルガリア出身の力士】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ブルガリア出身の力士は歴代で誰が有名ですか?
琴欧洲勝紀と碧山亘右が代表的な力士です。琴欧洲は元大関で幕内最高優勝1回、碧山は元関脇で幕内在位71場所を記録しました。
Q2:2026年現在、ブルガリア出身の現役力士はいますか?
2026年11月時点、日本相撲協会の出身地別検索ではブルガリア出身の現役力士は確認できません。琴欧洲と碧山はいずれも引退しています。
Q3:琴欧洲は何回優勝しましたか?
幕内最高優勝は1回です。2008年5月場所に13勝1敗で優勝を決め、ヨーロッパ出身力士として初めて幕内最高優勝を達成しました。
Q4:琴欧洲の現在の親方名と所属部屋は?
鳴戸勝紀という年寄名で、鳴戸部屋の師匠を務めています。2017年4月に独立して鳴戸部屋を設立しました。
Q5:碧山の現在の親方名と所属部屋は?
岩友亘右です。2024年9月に引退して岩友を襲名し、現在は春日野部屋付きの親方として後進の指導に携わっています。
Q6:琴欧洲と碧山の最高位はどちらが上ですか?
琴欧洲の最高位は大関、碧山の最高位は関脇です。番付上は琴欧洲が上位ですが、碧山も幕内在位71場所という長期にわたる実績を残しています。
ブルガリア出身の力士として大相撲で大きな足跡を残した琴欧洲と碧山。
琴欧洲は2006年1月場所に大関へ昇進し、2008年5月場所にはヨーロッパ出身力士初の幕内最高優勝を達成した。2014年3月の引退後は鳴戸親方となり、2017年に鳴戸部屋を設立して師匠として活動している。
碧山は2009年7月場所に初土俵を踏み、最高位関脇、幕内在位71場所、通算613勝という記録を残した。2024年9月の引退後は岩友親方として春日野部屋に所属している。
2026年現在、ブルガリア出身の現役力士は日本相撲協会の公式検索では確認できない。しかし、2人が親方として角界に残っていることは、ブルガリアと日本の相撲界をつなぐ重要な接点となっている。
琴欧洲は大関・優勝という歴史的な実績を残し、碧山は長年の幕内在位で存在感を示した。異なる強みを持つ2人の功績は、現役時代だけでなく、次世代の力士を育てる現在の活動にも受け継がれている。
主な確認資料: 日本相撲協会「力士プロフィール」「年寄プロフィール」「相撲部屋のご紹介」「協会からのお知らせ」、鳴戸部屋公式サイト、日刊スポーツ、スポニチ、ブルガリア日本大使館のブルガリア相撲連盟紹介資料。