2026年10月31日時点の相撲部屋を一門別に整理すると、次の5グループに分かれます。
大相撲・五大一門相関図

2026年10月31日時点/全45部屋
出羽海一門14部屋
出羽海部屋を中心とするグループ
二所ノ関一門17部屋
二所ノ関部屋を中心とするグループ
時津風一門5部屋
時津風部屋を中心とするグループ
高砂一門4部屋
高砂部屋を中心とするグループ
伊勢ヶ濱一門5部屋
伊勢ヶ濱部屋を中心とするグループ
合計45部屋
一門別の色分けは理解のための表示です。日本相撲協会による公式の分類図ではありません。
日本相撲協会の公式サイトでは、相撲部屋が五十音順で掲載されています。一門別の区分は掲載されていません。そのため、以下の所属関係は協会の部屋一覧と、元力士による解説、相撲専門記者の系譜調査などを照合した整理です。
五大一門・全45部屋の一覧資料:日本相撲協会「相撲部屋のご紹介」、元力士しんざぶろう氏の2026年10月16日付一門解説、相撲ライター田口通廣氏の系譜調査。
部屋数を比較すると、最も多いのは二所ノ関一門の17部屋、次が出羽海一門の14部屋です。時津風と伊勢ヶ濱はそれぞれ5部屋、高砂は4部屋となっています。
ただし、部屋数が多いからといって、その一門の力士が必ず強いわけではありません。一門の規模と本場所の成績は、別々に見る必要があります。
【一門別に徹底解説】5つのグループの特徴と歴史的な系譜
1.出羽海一門:14部屋を擁する伝統あるグループ出羽海一門は、出羽海部屋を中心に形成されたグループです。2026年10月現在、14部屋が所属しています。
所属部屋は次のとおりです。
- 出羽海部屋
- 春日野部屋
- 境川部屋
- 武蔵川部屋
- 藤島部屋
- 二子山部屋
- 武隈部屋
- 玉ノ井部屋
- 雷部屋
- 木瀬部屋
- 尾上部屋
- 山響部屋
- 式秀部屋
- 立浪部屋
出羽海部屋は、明治時代の名力士・常陸山が発展させた名門として知られています。
歴史をたどると、春日野部屋、境川部屋、藤島部屋など、複数の部屋が独立や継承を経て現在の形になりました。
特に注目したいのは、かつての「分家独立を許さない」という出羽海部屋の伝統です。
その後、時代とともに部屋の独立が進み、現在では多くの部屋が枝分かれしています。
また、2018年には立浪部屋が出羽海一門に加わりました。立浪部屋は歴史的には立浪系の本家にあたりますが、現在の一門所属は出羽海です。
この事例は、歴史的な系譜と現在の一門が必ずしも一致しないことを示しています。
2.二所ノ関一門:17部屋で最多のグループ二所ノ関一門は、2026年10月時点で17部屋を擁する最大規模の一門です。
所属するのは次の部屋です。
- 二所ノ関部屋
- 放駒部屋
- 中村部屋
- 佐渡ヶ嶽部屋
- 鳴戸部屋
- 秀ノ山部屋
- 片男波部屋
- 田子ノ浦部屋
- 西岩部屋
- 芝田山部屋
- 湊川部屋
- 押尾川部屋
- 大嶽部屋
- 阿武松部屋
- 高田川部屋
- 湊部屋
- 錣山部屋
二所ノ関一門の系譜には、佐渡ヶ嶽部屋をはじめ、長い歴史を持つ部屋が並びます。
大きな転換点となったのが2021年です。
当時、荒磯部屋を率いていた元横綱・稀勢の里が年寄二所ノ関を襲名し、荒磯部屋を二所ノ関部屋へ改称しました。一方、それまで二所ノ関部屋だった部屋は放駒部屋へと名称を変更しています。
つまり、現在の二所ノ関部屋は、昔から同じ師匠と同じ部屋が続いてきたという単純な構造ではありません。
さらに2026年には、常盤山部屋を継承した湊川部屋も一門の構成に加わっています。
部屋数の多さと歴史的な分家の広がりが、二所ノ関一門を理解するポイントです。
3.時津風一門:双葉山の系譜を引く5部屋時津風一門は、時津風部屋を中心とした5部屋で構成されています。
- 時津風部屋
- 伊勢ノ海部屋
- 追手風部屋
- 荒汐部屋
- 音羽山部屋
時津風部屋の歴史を語るうえで欠かせないのが、昭和の大横綱・双葉山です。
双葉山が築いた時津風系の系譜は、後進の育成と部屋の独立を通じて広がってきました。
現在の構成では、2023年に陸奥部屋から独立した音羽山部屋も所属しています。
音羽山部屋の師匠は、元横綱・鶴竜です。横綱経験者が引退後に親方となり、新しい部屋を率いるケースとしても注目されます。
5部屋という規模ながら、伝統的な系譜を持つ一門です。
4.高砂一門:高砂・九重・八角など4部屋高砂一門は、明治時代の力士・高砂浦五郎が興した高砂部屋を本家とするグループです。
2026年10月現在の所属は4部屋です。
- 高砂部屋
- 錦戸部屋
- 九重部屋
- 八角部屋
特徴的なのは、九重部屋から八角部屋が独立した系譜です。
九重部屋は、元横綱・千代の富士が率いたことでも知られます。八角部屋は元横綱・北勝海が九重部屋から独立して創設しました。
また、高砂部屋は元大関・朝青龍をはじめ、数々の著名力士を輩出してきました。
一門の部屋数は4と五大一門の中では最少ですが、歴史的な知名度は非常に高いグループです。
部屋数の少なさだけで、一門の影響力や伝統を判断することはできません。
5.伊勢ヶ濱一門:立浪系から続く5部屋伊勢ヶ濱一門は、伊勢ヶ濱部屋を中心とした5部屋で構成されています。
- 伊勢ヶ濱部屋
- 浅香山部屋
- 朝日山部屋
- 安治川部屋
- 大島部屋
歴史を理解するうえで重要なのは、以前は「立浪一門」と呼ばれていたことです。
立浪部屋が2018年に出羽海一門へ移ったことで、現在の伊勢ヶ濱一門という名称が定着しています。
各部屋の変遷にも特徴があります。
浅香山部屋は元大関・魁皇の浅香山親方が率い、友綱部屋から独立して創設されました。大島部屋は友綱部屋の名称変更によって現在の形になっています。
安治川部屋は元関脇・安美錦の安治川親方が率いる部屋です。
朝日山部屋は2016年に再興され、2017年に伊勢ヶ濱一門へ移りました。
このように、現在の伊勢ヶ濱一門には、複数の歴史的系譜が合流しています。
【一門制度の仕組み】巡業組合から相撲協会の運営を支える組織へ
そもそも、なぜ相撲部屋は一門というグループを形成しているのでしょうか。
その起源は、現在のような協会運営のための集団ではなく、地方巡業を共同で運営するための組織にあります。
一門の始まりは巡業組合日本相撲協会の公式クイズ解説によると、一門の原型は「巡業組合」です。
かつては現在のように協会が巡業を一括して運営する形ではなく、一門ごとに自主的な興行を行い、その収入を部屋の運営に役立てていました。
親方同士のつながりや師弟関係を基盤に、複数の部屋が共同で活動する必要があったのです。
その後、相撲協会の運営体制が整うにつれて、一門の役割も変化しました。
一門が担う主な役割現在の一門には、主に次のような役割があります。
1.連合稽古
同じ一門に所属する複数の部屋の力士が集まり、合同で稽古を行います。
普段は異なる部屋で稽古する力士同士が、実戦的な相撲を通じて技術を磨ける機会です。
ただし、連合稽古は一門の力士だけに限定されるわけではなく、他の一門から出稽古に参加する場合もあります。
2.親方同士の情報交換と協力
部屋を運営する親方同士が、協力関係を築く場として機能します。
部屋の継承や独立、親方の活動など、相撲界の人間関係を理解するうえでも重要なつながりです。
3.日本相撲協会の理事候補選への対応
一門の存在が特に分かりやすく表れるのが、協会の役員候補選挙です。
2026年1月23日に届け出が締め切られた理事候補選では、各一門から次の人数が擁立されました。
- 出羽海一門:3人
- 二所ノ関一門:3人
- 時津風一門:2人
- 高砂一門:1人
- 伊勢ヶ濱一門:1人
理事の定員は10人で、候補者も10人だったため、4期連続の無投票が決まりました。
その後、2026年3月23日の評議員会で理事が正式に選任されています。
この経緯からも、一門が単なる歴史的な呼び名ではなく、協会運営に関わる親方同士の協力単位として機能していることが分かります。
同じ一門の力士は本場所で対戦しない?これは、現在の相撲では誤解です。
かつては一門の系統を基準に取組を編成しており、同じ一門の力士同士が本場所で対戦しない時代がありました。
しかし、昭和40年(1965年)1月場所から部屋別総当たり制に変更されています。
現在は、同じ一門でも別々の部屋に所属していれば、本場所で対戦することがあります。
対戦が組まれない基本的な単位は同じ部屋であり、同じ一門という理由だけで対戦が禁止されているわけではありません。
【師匠と親方の関係】部屋持ち親方と部屋付き親方の違い
相撲部屋の一門を理解するには、部屋の運営を担う師匠と親方の関係も知っておく必要があります。
一般に「親方」と呼ばれている人の正式な名称は、日本相撲協会の規定上「年寄」です。
年寄名跡を襲名した親方は、協会の構成員として活動します。
日本相撲協会の定款では、年寄名跡は協会が管理し、襲名する者は資格審査委員会の審査結果に基づいて理事会が決定すると定められています。
部屋持ち親方とは?部屋持ち親方とは、相撲部屋を運営する師匠のことです。
弟子の育成、稽古の指導、日常生活の管理など、部屋全体の運営に責任を持ちます。
新弟子が入門する際にも、所属を希望する部屋の師匠となる年寄を通じて協会に必要書類を提出します。
部屋付き親方とは?部屋付き親方は、独立した部屋を持たず、既存の部屋に所属して力士の指導などを行う親方です。
部屋持ち親方との違いを整理すると、次のようになります。
- 部屋持ち親方:部屋の師匠として運営全体を担う。
- 部屋付き親方:所属する部屋で力士の指導や協会業務を担う。
日刊スポーツの解説でも、この2つは明確に区別されています。
師匠の現役時代の四股名と部屋名は一致する?必ずしも一致しません。
親方は引退後に年寄名跡を襲名するため、現役時代の四股名とは異なる名前を名乗ることが一般的です。
例えば、次のような関係があります。
- 二所ノ関親方:元横綱・稀勢の里
- 九重親方:元大関・千代大海
- 浅香山親方:元大関・魁皇
- 武隈親方:元大関・豪栄道
- 藤島親方:元大関・武双山
部屋の名前、師匠の年寄名、現役時代の四股名を分けて覚えると、相関図が理解しやすくなります。
相撲部屋の所属を調べる際、最も間違いやすいのが「系統」と「一門」の違いです。
この2つは似ているようで、意味が異なります。
系統とは、部屋の歴史的な親子関係や師弟関係を指すものです。
例えば、ある部屋から独立して新しい部屋を創設した場合、両者には歴史的なつながりが残ります。
一方、一門とは、現在どのグループに所属しているかを示す区分です。
そのため、昔の系統と現在の一門が異なる場合があります。
一門が変わった代表的な部屋2026年10月時点で、特に分かりやすい例を紹介します。
- 立浪部屋:立浪系の本家だが、2018年に出羽海一門へ移動。
- 湊部屋:時津風系の歴史を持つが、2018年に二所ノ関一門へ移動。
- 錣山部屋:井筒系の歴史を持つが、2018年に二所ノ関一門へ移動。
- 高田川部屋:高砂系の歴史を持ち、2011年に二所ノ関一門へ移動。
- 朝日山部屋:2017年に二所ノ関一門から伊勢ヶ濱一門へ移動。
これらの例は、歴史的な系譜だけで現在の所属を判断できないことを示しています。
相撲部屋の所属を調べる3つの判断基準1. 現在の部屋名を確認する
日本相撲協会の公式サイトに掲載されている部屋名を確認します。旧部屋名と現在の名称を取り違えないことが大切です。
2. 現在の一門を確認する
部屋の独立や一門間の移動を反映した、更新日の新しい所属一覧を参照します。
3. 歴史的な系統と現在の所属を分ける
親方の出身部屋や過去の一門と、現在の所属一門を同じものとして扱わないようにします。
なお、2026年10月現在、日本相撲協会の公式部屋一覧は五十音順であり、一門別の公式分類表ではありません。
このため、相関図を利用するときは、情報の更新日と所属区分の出典を確認することが大切です。
【相撲部屋一門相関図】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大相撲の一門はいくつありますか?
大相撲には、2026年10月現在、出羽海・二所ノ関・時津風・高砂・伊勢ヶ濱の5つの一門があります。所属部屋は合計45部屋です。
Q2:相撲部屋の数が最も多い一門はどこですか?
二所ノ関一門です。2026年10月時点で17部屋が所属しており、出羽海一門の14部屋を上回っています。
Q3:相撲部屋の一門は日本相撲協会が公式に発表していますか?
協会公式サイトには相撲部屋の一覧が掲載されていますが、一門別の公式所属一覧は公表されていません。一般的な一門別相関図は、報道や相撲専門家の調査などをもとに整理されたものです。
Q4:同じ一門に所属する力士同士は対戦できますか?
できます。現在は部屋別総当たり制のため、別々の部屋に所属していれば同じ一門の力士同士でも対戦します。
Q5:立浪部屋はなぜ出羽海一門なのですか?
立浪部屋は歴史的には立浪系の本家ですが、2018年に一門の所属を変更したため、現在は出羽海一門に属しています。歴史的な系統と現在の所属が異なる代表例です。
Q6:相撲部屋の師匠と親方は同じ意味ですか?
必ずしも同じではありません。師匠は部屋の運営責任者である部屋持ち親方を指し、部屋付き親方は別の部屋に所属して力士の指導などを行います。
2026年10月31日時点の大相撲は、45部屋・5つの一門という構成です。
- 出羽海一門:14部屋
- 二所ノ関一門:17部屋
- 時津風一門:5部屋
- 高砂一門:4部屋
- 伊勢ヶ濱一門:5部屋
相撲部屋の一門を理解するうえで、特に押さえておきたいのは3点です。
第一に、一門は歴史的な師弟関係から生まれたグループであること。
第二に、系統と現在の一門所属は必ずしも一致しないこと。
第三に、一門は連合稽古や協会の役員候補選などで協力する実際的な組織でもあること。
相撲部屋の相関図は、単に45部屋を5色に分類したものではありません。明治・昭和から続く部屋の歴史、親方の独立、部屋名の継承、そして一門の移動が重なった相撲界の系譜図です。
今後も新しい部屋の独立や継承、所属関係の変化によって相関図は更新される可能性があります。力士を応援するときは、所属部屋だけでなく、その部屋が属する一門や歴史的な系統にも注目すると、大相撲の楽しみ方がさらに広がります。