台湾プロ野球で本塁打王・打点王を獲得し、台湾代表の中軸打者として国際舞台でも実績を残してきた林安可(リン・アンコー)。2026年から埼玉西武ライオンズに加入し、日本プロ野球(NPB)で新たな挑戦を始めた台湾出身の左打ちスラッガーだ。3月28日には「4番・DH」で初先発し、来日初安打も記録。台湾で培った長打力を日本でどこまで発揮できるかに注目が集まった。
一方、2026年シーズン終了時のNPB公式成績は打率.220、8本塁打、29打点。台湾時代の圧倒的な打撃成績と比較すると、日本での適応にはまだ課題も残る。台南市で野球を始めた少年時代、中国文化大学での二刀流時代、統一ライオンズでの飛躍、そして2018年の楽天テストから西武入団に至るまでの経歴を振り返りながら、林安可の現在地を詳しく解説する。
【林安可とはどんな選手?】プロフィールと現在の所属・基本情報

林安可は、台湾出身のプロ野球選手で、2026年現在は埼玉西武ライオンズに所属している。読み方は「リン・アンコー」。台湾プロ野球の統一ライオンズで主軸打者として活躍した後、2026年から日本でプレーしている。
最大の持ち味は、左打席から放つ強い打球と長打力だ。台湾時代にはシーズン30本塁打を記録した実績があり、広角への打撃と一発を狙えるパワーを兼ね備えている。
埼玉西武ライオンズが2025年11月22日に発表した契約情報によると、身長184センチ、体重90キロ。背番号は73で、登録上のポジションは外野手となっている。
林安可の基本プロフィール
- 名前:林安可(リン・アンコー/LIN AN-KO)
- 生年月日:1997年5月19日
- 年齢:29歳(2026年10月現在)
- 出身地:台湾・台南市
- 身長:184センチ
- 体重:90キロ
- 投打:左投左打
- ポジション:外野手
- 背番号:73
- 前所属:統一ライオンズ
- 現所属:埼玉西武ライオンズ
西武への加入は、単なる外国人選手の補強というだけではない。台湾プロ野球で長年積み重ねてきた実績を持つ選手が、かねてから希望していた日本でのプレーを実現したという意味もある。
西武球団本部長の広池浩司氏は契約発表時、林安可について、台湾プロ野球で本塁打王・打点王を獲得した実績や、台湾代表で中軸を担ってきた長打力を評価していた。獲得時点から、打線の中心を担える選手として期待されていたことが分かる。
【台南市出身からプロ入りまで】中国文化大学と楽天テストの転機
林安可の野球人生は、台湾南部の台南市から始まった。小学生時代に野球を始め、中学、高校、大学と地元台湾で競技経験を積み重ねている。
台湾の報道や過去の選手紹介によると、安慶国小4年生のときに野球チームへ加入。その後、建興国中、南英商工へ進学した。高校時代から投手としての能力と打者としての長打力を兼ね備え、台湾の世代別代表にも選ばれている。
2014年のアジア青棒選手権では台湾代表として2本塁打を記録。高校時代から投打両面で評価されていたことが、その後のキャリアを考えるうえで重要なポイントになる。
高校卒業後は中国文化大学へ進学。大学時代は主に投手として活動しながら、強打者としても存在感を示した。2016年のU23ワールドカップ、2017年の台北ユニバーシアード、2018年の世界大学野球選手権など、国際大会への出場経験も積んでいる。
2018年、東北楽天ゴールデンイーグルスの入団テストに挑戦林安可の日本との縁は、西武入団よりかなり前にさかのぼる。
2018年11月、当時21歳だった林安可は、東北楽天ゴールデンイーグルスの秋季練習に参加し、投手として入団テストを受けた。楽天球団が発表した当時の参加選手情報にも、中国文化大学所属の左投手として名前が掲載されている。
当時は投手として日本球界への挑戦を希望していた。しかし、テストでは契約獲得に至らなかった。後年の台湾メディアの報道では、当時の左肘の骨棘やコンディション面の問題も取り上げられている。
この経験は、林安可のキャリアにおける大きな転換点だった。2019年には台湾プロ野球のドラフトへ進み、統一ライオンズから1巡目指名を受ける。投手として日本へ渡る道はいったん閉ざされたものの、今度は打者としてプロの世界へ進むことになった。
統一ライオンズでは、当初から打者としての能力が高く評価されていた。2019年のドラフト時、球団側もまず野手として起用する方針を示している。
林安可の経歴年表| 時期 | 出来事 | 主なポイント |
|---|---|---|
| 1997年 | 台湾・台南市で誕生 | 5月19日生まれ |
| 小学生時代 | 安慶国小で野球を始める | 小学4年生で野球チームに加入 |
| 中学・高校時代 | 建興国中、南英商工 | 投手と強打者の両面で活躍 |
| 2015~2018年 | 中国文化大学 | 投手を中心に二刀流として活動 |
| 2018年11月 | 東北楽天の入団テスト | 秋季練習に参加するも契約に至らず |
| 2019年 | 統一ライオンズに入団 | ドラフト1巡目指名 |
| 2020年 | 台湾プロ野球で大ブレーク | 新人王・本塁打王・打点王 |
| 2024年 | プレミア12台湾代表 | 台湾の大会初優勝に貢献 |
| 2025年 | 統一ライオンズでプレー | 打率.318、23本塁打、73打点 |
| 2025年11月 | 西武との契約を発表 | 背番号73でNPB挑戦へ |
| 2026年3月28日 | NPB初出場・来日初安打 | 4番・DHで先発出場 |
【統一ライオンズ時代】本塁打王・打点王を獲得した打撃成績
林安可の評価を語るうえで欠かせないのが、台湾プロ野球の統一ライオンズで残した実績だ。
2019年にプロ入りした当初、投手としての将来性も期待されていたが、球団は打者としての能力を優先。外野手を中心に出場機会を与え、打撃に集中できる環境を整えていった。
2020年に32本塁打・99打点で新人王に最初の大きな飛躍は2020年シーズンだった。
林安可は118試合に出場し、134安打、打率.310、32本塁打、99打点を記録。台湾プロ野球で本塁打王と打点王を獲得し、さらに新人王とベストナイン外野手にも選ばれた。
中央通信社(CNA)の当時の報道でも、初めてフルシーズンを戦った林安可が複数の主要タイトルを獲得したことが紹介されている。
特に注目したいのは、単に本塁打を量産しただけではない点だ。打率.310、出塁率.400、長打率.590という数字は、長打力と出塁能力を両立していたことを示している。
2021年以降も主軸として活躍2021年は打率.302、16本塁打、67打点。翌2022年は故障の影響もあり出場機会が減少したが、2023年には15本塁打を記録した。
2024年は118試合で20本塁打、93打点。さらに中華職棒オールスターではホームランダービーで31本の本塁打を放ち、MVPを獲得した。中央通信社の学校関連報道では、オールスターMVPの連続受賞という記録も紹介されている。
そして西武移籍直前となった2025年、林安可は再び強烈な成績を残した。
2025年の主な打撃成績は以下のとおり。
- 出場試合:90試合
- 打数:330
- 安打:105本
- 打率:.318
- 本塁打:23本
- 打点:73
- 出塁率:.396
- 長打率:.603
- OPS:約.999
特に長打率.603という数字は、台湾リーグでの長距離打者としての能力を端的に示している。2025年のCPBL打撃ランキングでも、林安可は長打率の上位に位置していた。
台湾でのプロ通算本塁打は、西武加入前の報道で112本と紹介されている。7年間にわたって統一ライオンズの主力打者を務めてきた実績は、日本での獲得評価にもつながった。
林安可の台湾時代の成績を振り返ると、2020年の新人王獲得が一時的なブレークではなく、その後も長打力を維持してきたことが分かる。2025年の23本塁打は、日本球界へ移る直前の状態を判断するうえで重要な数字だ。
【台湾代表としての実績】プレミア12優勝と2026年WBC出場
林安可は台湾プロ野球だけでなく、国際大会でも長年代表経験を積んできた選手だ。
高校時代から世代別代表に選出され、大学時代にはU23ワールドカップや世界大学野球選手権などに出場。プロ入り後も台湾代表の中軸候補として起用されてきた。
2023年杭州アジア大会で銀メダル2023年の杭州アジア大会では、台湾代表の中心打線を担った。チームは決勝まで進出したものの、韓国に0対2で敗れ、最終成績は銀メダルだった。
林安可にとっては、プロでの経験を代表チームに還元する重要な国際大会となった。
2024年プレミア12では日本戦で本塁打さらに注目を集めたのが、2024年の第3回WBSCプレミア12だ。
台湾代表はスーパーラウンドで日本と対戦。林安可は日本戦で本塁打を放ち、強打者としての存在感を示した。
大会決勝では台湾が日本を4対0で破り、初優勝を達成。日本野球ファンの間でも、台湾代表の強力打線を支えた選手の一人として林安可の名前が知られるようになった。
2026年WBCでは台湾代表に選出2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも、林安可は台湾代表の30人に選出された。2月6日に公表された台湾代表メンバーには、西武所属の林安可が外野手として名を連ねている。
ただし、WBCでの個人成績は厳しいものだった。大会では4試合に出場し、15打数1安打、4三振、打率.067という結果に終わっている。
日本の投手を含む各国の高いレベルの投手陣と対戦した経験は、本人にとっても大きな課題を認識する機会になった。大会終了後は西武に戻り、オープン戦で調整を続けた。
ここで押さえておきたいのは、代表での短期大会の成績と、プロのシーズン成績は分けて考える必要があるという点だ。WBCの15打数という限られた数字だけで、林安可の打撃能力全体を判断することはできない。
【2026年の西武加入】4番・DHで初出場、来日初安打まで
2025年11月22日、埼玉西武ライオンズは林安可との支配下選手契約を発表した。台湾の統一ライオンズで実績を積んだ左の強打者が、2026年からNPBでプレーすることになった。
球団の契約発表では、長打力と台湾代表での経験が高く評価されていた。本人も日本でプレーできることへの感謝を示し、新しい環境で持ち味を発揮してチームの勝利に貢献したいという意向を表明している。
3月28日に「4番・DH」でNPB初出場林安可の日本での公式戦デビューは2026年3月28日。千葉ロッテマリーンズとの第2回戦、ZOZOマリンスタジアムでの試合だった。
開幕戦の3月27日は出場機会がなかったが、翌28日は「4番・指名打者(DH)」として先発出場。加入直後からクリーンアップに起用されたことは、球団の期待の大きさを示している。
第2打席で来日初安打を記録初打席は左飛に終わったものの、見どころは4回表の第2打席だった。
ロッテの先発・田中晴也投手と対戦した林安可は、カウント0ボール1ストライクから直球を捉え、三塁手の頭を越える安打を記録。これがNPBでの来日初安打となった。
この場面はパ・リーグ公式メディア「パ・リーグインサイト」やスポーツニッポン、日刊スポーツなども報道している。
台湾で通算112本塁打を記録してきた打者が、日本の一軍公式戦で最初の安打を記録した瞬間だった。
ただし、初安打は長い日本での挑戦の出発点にすぎない。4番として期待される役割を果たすには、安打を継続的に積み重ね、本塁打や打点でチームに貢献することが求められる。
【2026年最新成績】NPB公式記録から見る林安可の現在地
2026年10月31日時点で確認できるNPB公式のシーズン終了時成績によると、林安可の1年目は76試合出場、打率.220、8本塁打、29打点という結果だった。
日本での初年度を評価するには、台湾時代の数字との比較だけでなく、打席数や出塁率、長打率も見る必要がある。
林安可の2026年NPB個人成績2026年シーズン終了時のNPB公式打撃成績
- 所属:埼玉西武ライオンズ
- 出場試合:76試合
- 打席:262
- 打数:236
- 安打:52本
- 二塁打:14本
- 三塁打:0本
- 本塁打:8本
- 打点:29
- 得点:20
- 四球:18
- 三振:65
- 打率:.220
- 出塁率:.294
- 長打率:.381
- OPS:.675
NPB公式記録で特に注目したいのは、本塁打8本という数字と打率.220の組み合わせだ。
打率は台湾時代の2025年に記録した.318を大きく下回った。一方で、236打数で8本塁打を記録しており、長打を生み出す能力そのものが失われたわけではない。
出塁率.294、長打率.381、OPS.675という数字を見ると、打率だけでなく出塁面でも改善の余地がある。65三振という数字も含め、NPBの投手に対する対応力をさらに高める必要がある。
台湾時代と日本での成績はどう違う?2025年の統一ライオンズ時代と2026年の西武時代を比較すると、打撃成績の違いが明確になる。
- 台湾時代の2025年:打率.318、23本塁打、73打点
- 西武での2026年:打率.220、8本塁打、29打点
ただし、出場試合数は台湾時代の90試合に対して日本では76試合。打席数も異なるため、本塁打や打点の単純比較には注意が必要だ。
また、NPBとCPBLでは対戦する投手の特徴や投球の組み立て、試合環境も異なる。台湾で結果を残した打撃フォームをそのまま持ち込めば、同じ数字を残せるとは限らない。
2027年に向けた課題は何か林安可の今後を考えるうえで、注目したいポイントは3つある。
1つ目は、変化球への対応力。日本の投手は直球だけでなく、変化球を組み合わせて打者のタイミングを外す。長打を狙える打者ほど、空振りを減らしながら自分の打撃ポイントを維持することが重要になる。
2つ目は、出塁率の向上。本塁打を打てる能力があっても、打率や出塁率が低ければ打線の中で安定した役割を担いにくい。四球を選び、相手投手に簡単に打ち取られない打席を増やすことが求められる。
3つ目は、年間を通じた出場機会の確保。2026年は76試合の出場にとどまった。継続的に一軍で打席を重ねることができれば、日本の投手への適応も進みやすくなる。
2026年の成績は、台湾時代の実績から期待された水準には届かなかった。しかし、8本塁打という結果には長打力の片鱗が表れている。今後は一発だけでなく、打率と出塁率をどう引き上げるかが評価の分かれ目になる。
【プロの結論】林安可の本当の評価は二刀流ではなく打者としての完成度にある
林安可を紹介する際、よく使われる言葉が「二刀流」だ。実際、高校・大学時代には投手と打者の両方で評価され、最速147キロの球を投げる左腕としても注目されていた。
しかし、現在の林安可を理解するうえで重要なのは、過去の二刀流という肩書きにとらわれないことだ。
2019年の統一ライオンズ入団後、球団は打者としての才能を優先した。2020年には本塁打王・打点王・新人王を獲得し、その後も台湾を代表する強打者として実績を積み重ねた。
つまり、林安可のキャリアは「投手として日本に挑戦できなかった選手が、打者として日本にやってきた」という単純な話ではない。打撃という自分の強みを選び、台湾で結果を残し、改めて日本での挑戦を実現した選手なのである。
林安可を評価するときの3つの判断基準- 長打力:台湾で30本塁打以上を記録した実績があり、NPBでも本塁打を生み出せる能力を持つ。
- 適応力:台湾と日本では投手の特徴が異なる。日本の投球に対応して打率や出塁率を改善できるかが重要。
- 継続性:一時的な本塁打数だけでなく、一軍で出場機会を確保し、シーズンを通して成績を維持できるかが評価のポイント。
台湾時代の華々しい実績だけを見て、すぐにNPBでも同じ成績を残すと期待するのは早計だ。一方、初年度の打率.220だけを理由に、打者としての価値を判断するのも適切ではない。
台湾で積み重ねた実績、日本代表戦での本塁打、そして日本での初安打。これらは林安可が異なる環境でも挑戦を続けてきた証拠だ。
【林安可】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:林安可はどこの出身ですか?
A1:台湾南部の台南市出身です。安慶国小、建興国中、南英商工を経て中国文化大学へ進学しました。
Q2:林安可は現在どこのチームに所属していますか?
A2:2026年現在は埼玉西武ライオンズに所属しています。背番号73、ポジションは外野手で、左投左打の選手です。
Q3:林安可は二刀流の選手ですか?
A3:高校・大学時代には投手と打者の両方で活躍した二刀流選手でした。ただし、統一ライオンズ入団後は打者としての育成が優先され、現在は外野手としてプレーしています。
Q4:林安可の台湾時代の最高の成績は?
A4:2020年に118試合で打率.310、32本塁打、99打点を記録し、本塁打王・打点王・新人王を獲得しました。2025年も打率.318、23本塁打、73打点を残しています。
Q5:林安可の来日初安打はいつですか?
A5:2026年3月28日、千葉ロッテ戦で記録しました。「4番・DH」で先発出場し、4回表の第2打席で田中晴也投手から安打を放っています。
Q6:林安可の2026年NPB成績は?
A6:NPB公式の2026年シーズン終了時記録では、76試合出場、打率.220、52安打、8本塁打、29打点、出塁率.294、長打率.381、OPS.675です。
Q7:林安可は台湾代表としてWBCに出場しましたか?
A7:はい。2026年WBCの台湾代表30人に選出されました。大会では4試合に出場し、15打数1安打、打率.067を記録しています。また、2024年プレミア12の台湾代表としても優勝に貢献しました。
林安可は、台南市で野球を始め、中国文化大学で投打両面の才能を磨き、統一ライオンズで台湾を代表する強打者へ成長した選手だ。
2018年には東北楽天ゴールデンイーグルスの入団テストを受けたものの契約には至らず、2019年に統一ライオンズへ入団。その後、2020年の新人王・本塁打王・打点王獲得、2024年のプレミア12優勝、2025年の23本塁打を経て、2026年に埼玉西武ライオンズへの加入を実現した。
日本での初年度は76試合、打率.220、8本塁打、29打点。台湾時代の成績と比べれば課題は残るが、長打力という最大の武器は健在だ。
今後の評価を左右するのは、単純な本塁打数だけではない。日本の投手への対応、出塁率の改善、年間を通じた出場機会の確保という3つの要素が重要になる。
台湾で証明した長打力を、NPBでどこまで再現できるのか。2018年の楽天テストから始まった日本との縁を、2026年の西武加入で実らせた林安可。次のシーズンは、台湾のスター選手から日本でも主軸を任される打者へと成長できるかが最大の見どころとなる。
主な参照資料・報道
- 日本野球機構(NPB)「林 安可 個人年度別成績」
- 埼玉西武ライオンズ「林安可選手との契約を締結」(2025年11月22日)
- パ・リーグインサイト「4番・DHで初出場の林安可に来日初ヒット!」(2026年3月28日)
- 中央通信社(CNA)台湾プロ野球新人王・2020年成績報道
- 台湾自由時報・2018年楽天テストおよび林安可の経歴報道
- スポーツニッポン・2026年WBC台湾代表関連報道