下まぶたに赤い腫れができた、まばたきをすると痛い、あるいは痛みのない小さなしこりが残っている。このような症状が現れると、「ものもらいができたのでは?」と心配になる人も多いでしょう。
下まぶたにできるものもらいには、細菌感染によって起こる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)だけでなく、まぶたの脂の出口が詰まって生じる霰粒腫(さんりゅうしゅ)もあります。両者は見た目が似ていても原因や治療方針が異なり、痛みがなくなった後もしこりだけが残るケースもあります。
【症状をチェック】下まぶたのものもらいに現れる5つの特徴

下まぶたのものもらいは、まぶたの一部分に炎症や腫れが起こる病気です。医学的には主に麦粒腫と霰粒腫が関係しますが、発症した場所や炎症の程度によって見え方が異なります。
1.下まぶたが赤く腫れて痛む麦粒腫の代表的な症状は、下まぶたの一部分に現れる赤み、腫れ、圧痛です。
初期には少し違和感がある程度でも、炎症が進むと触れたときの痛みや腫れが強くなることがあります。まばたきをした際に異物感を覚えたり、涙が出やすくなったりする場合もあります。
炎症が進行して膿がたまると、腫れの中心に黄色っぽい部分が見えることがあります。自然に排膿されると、炎症が落ち着いていく傾向があります。
2.下まぶたの裏側に腫れや違和感がある下まぶたの皮膚側ではなく、まぶたを軽く下げたときに見える裏側に腫れがある場合、内麦粒腫の可能性があります。
内麦粒腫は、まぶたの内側にあるマイボーム腺に細菌感染が起こることで発症します。外からは小さな腫れに見えても、内側では炎症が進んでいる場合があります。
外麦粒腫と比較して痛みなどの症状が強くなることもあり、自然に膿が排出されにくいケースもあります。裏側の腫れを確認しようとして、指や綿棒で何度も触るのは避けてください。
3.まつ毛の生え際に小さな膿のような膨らみがある下まつ毛の生え際に、ニキビや小さなできもののような膨らみができた場合は、外麦粒腫が考えられます。
まつ毛の毛包や周辺の分泌腺に細菌感染が起こることで発症し、局所的な赤みや痛みを伴います。炎症が進むと、中央に膿がたまったような黄色い点が見えることもあります。
外麦粒腫は皮膚側から腫れを確認しやすい一方、内麦粒腫はまぶたの裏側に炎症が生じるため、見た目だけで判断できないことがあります。
4.痛くないのに下まぶたのしこりが残る痛みや赤みがほとんどないのに、下まぶたに丸いしこりが残っている場合は、霰粒腫の可能性があります。
霰粒腫は、マイボーム腺の出口が詰まり、内部に脂がたまることで肉芽腫という組織が形成される病気です。典型的には、触るとコロコロとした硬さを感じます。
発症当初は軽い腫れや痛みがあっても、炎症が落ち着くにつれて痛みがなくなり、しこりだけが残ることがあります。
痛くないからといって必ずしも放置してよいわけではありません。大きくなる、長期間消えない、同じ場所に何度も繰り返す場合は眼科で診察を受けましょう。
5.まぶた全体に腫れが広がる小さなできものから始まった腫れが下まぶた全体に広がった場合は注意が必要です。
麦粒腫の炎症が強くなっている可能性のほか、まぶた周囲の皮膚や組織に感染が広がっていることも考えられます。
特に発熱、目の奥の痛み、視力の変化、眼球を動かしたときの痛みなどを伴う場合は、単純なものもらいとは異なる病気も考慮しなければなりません。
【原因と違いを比較】麦粒腫・霰粒腫・内麦粒腫・外麦粒腫は何が違う?
下まぶたの腫れを見分けるうえで重要なのが、麦粒腫と霰粒腫の違いです。
どちらも俗に「ものもらい」と呼ばれることがありますが、発症の仕組みは異なります。日本眼科学会の疾患解説でも、麦粒腫は細菌感染、霰粒腫はマイボーム腺の出口の閉塞によって生じる病気として区別されています。
麦粒腫(ばくりゅうしゅ):細菌感染による炎症麦粒腫は、まぶたにある分泌腺や毛包に細菌が感染して起こる急性の炎症です。
原因菌として代表的なのがブドウ球菌です。手で目をこする、汚れた手でコンタクトレンズを扱う、まぶたの清潔が十分に保たれていないといった状況は、感染のきっかけになることがあります。
麦粒腫には、感染が起こる場所によって2種類あります。
- 外麦粒腫:まつ毛の毛包や周辺の皮脂腺・汗腺に感染が起こる。まつ毛の生え際付近に赤い腫れや膿を伴う。
- 内麦粒腫:まぶたの内側にあるマイボーム腺に感染が起こる。まぶたの裏側に腫れができ、痛みが強くなる場合がある。
特に内麦粒腫は、外側から膿の出口が見えにくいことがあります。腫れを押し出そうとすると炎症を悪化させる可能性があるため、自己判断で処置しないことが大切です。
霰粒腫(さんりゅうしゅ):脂の出口が詰まってできるしこり霰粒腫は、まぶたの内部にあるマイボーム腺の出口が詰まり、脂がたまることで炎症性のしこりが形成される病気です。
麦粒腫と大きく異なるのは、基本的に細菌感染が原因ではないという点です。
典型的な症状は、赤みや痛みが少ない丸いしこりです。大きさはさまざまで、小さなものから1cmを超えるものまであります。
霰粒腫は自然に吸収されることもありますが、消失までに数週間以上かかる場合があります。大きくなったり、視界に影響したりする場合には、眼科で治療を検討します。
麦粒腫と霰粒腫の違いを一覧で比較| 比較項目 | 麦粒腫 | 霰粒腫 |
|---|---|---|
| 主な原因 | 細菌感染 | マイボーム腺の出口の詰まり |
| 痛み | あり。押すと痛むこともある | 通常は少ない、またはない |
| 赤み | 比較的目立ちやすい | 典型例では少ない |
| しこり | 炎症や膿を伴う腫れ | 丸く硬いしこり |
| 膿 | たまることがある | 通常は伴わない |
| 発生場所 | まつ毛の生え際やまぶたの裏側 | 上下のまぶたの内部 |
| 主な治療 | 温罨法、必要に応じて抗菌薬や排膿処置 | 温罨法、必要に応じて炎症治療や摘出手術 |
| 自然経過 | 数日以内に自然排膿し、改善することが多い | 数週間以上かけて吸収されることがある |
| 抗菌薬 | 症状や診察結果に応じて使用 | 感染を伴わない典型例では通常不要 |
※典型的な症状を比較したものであり、すべての患者に当てはまるわけではありません。霰粒腫でも炎症が強いと赤みや痛みが出るため、症状だけで確定診断することはできません。
痛みがある霰粒腫、痛みのない麦粒腫もある?麦粒腫と霰粒腫の区別で注意したいのは、痛みの有無だけでは判断できないことです。
霰粒腫は発症初期に軽い炎症を伴うことがあり、赤みや痛みが出る場合があります。一方、麦粒腫も炎症が落ち着いてくると痛みが軽減し、しこりだけが目立つことがあります。
日本眼科学会は、麦粒腫として治療を開始した後に腫れが引き、しこりが残った段階で霰粒腫と判明するケースについても説明しています。
つまり、最初に痛かったか、現在痛くないかだけで病名を決めるのは適切ではありません。経過とまぶたの状態を合わせて判断する必要があります。
【下まぶたの腫れの原因】ものもらい以外に考えられる病気
下まぶたに腫れがあるからといって、必ずしも麦粒腫や霰粒腫とは限りません。
日本眼科学会やMSDマニュアルでは、まぶたの腫れの原因として、アレルギー、眼瞼炎、周囲の感染症なども挙げられています。
アレルギー反応化粧品、スキンケア用品、花粉、ハウスダストなどが関係して、まぶたにアレルギー反応が起こることがあります。
特徴は、かゆみを伴う腫れです。ものもらいのような局所的なしこりではなく、まぶた全体が腫れぼったくなることもあります。
両目に症状が出るケースもあり、左右のまぶたが同時に腫れている場合はアレルギーも考えられます。
眼瞼炎(がんけんえん)眼瞼炎は、まつ毛の生え際やまぶたの縁に炎症が起こる病気です。
赤み、かゆみ、ヒリヒリ感、目やになどが見られ、慢性的に続くこともあります。まぶたの縁に炎症があると、麦粒腫や霰粒腫を繰り返す要因になる場合もあります。
何度も同じようなものもらいができる場合には、できものだけでなく、まぶたの縁の状態も調べてもらうことが大切です。
虫刺されや皮膚の炎症虫刺されによって下まぶたが腫れることもあります。一般的にはかゆみが目立ち、赤い膨らみができる場合があります。
また、目の周囲に使用した化粧品やクリームなどが刺激となり、接触性皮膚炎を起こすこともあります。
腫れが急激に広がる場合や、痛み・熱感が強い場合は、単なる虫刺されと考えずに受診してください。
眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)などの重い感染症特に注意したいのが、眼球の周囲や奥に感染が広がる眼窩蜂窩織炎です。
まぶたの強い腫れや赤みだけでなく、眼球の奥の痛み、発熱、眼球突出、物が二重に見える複視、視力低下などを伴うことがあります。
日本眼科学会も、眼窩蜂窩織炎は適切な治療を行わなければ重症化し、視力や生命に関わる可能性がある病気として紹介しています。
単なるものもらいとは異なり、緊急性のある感染症です。視力の変化や眼球を動かした際の痛みなどがあれば、速やかに眼科または救急医療機関を受診してください。
【治療と自然に治る期間】目薬・温罨法・手術はどんな場合に必要?
下まぶたのものもらいの治療は、麦粒腫か霰粒腫かによって異なります。腫れの程度や膿の有無、しこりの大きさなどを確認したうえで、眼科医が治療方法を選択します。
麦粒腫は自然に治る?回復までの期間麦粒腫は、軽症であれば自然に改善することがあります。
MSDマニュアルによると、多くの麦粒腫では2〜4日後に膿が自然に排出され、症状が解決する傾向があります。また、抗菌薬を使用しなくても数日以内に改善するケースがあります。
ただし、すべてが数日で治るわけではありません。炎症の程度や発生場所によっては長引くこともあり、内麦粒腫では自然に破裂しにくい場合があります。
48時間程度たっても改善の兆しがない、腫れや痛みが強くなるといった場合は、眼科で相談しましょう。
霰粒腫はどのくらいで治る?霰粒腫は、麦粒腫よりもしこりが長く残る傾向があります。
MSDマニュアルでは、霰粒腫の多くは治療をしなくても2〜8週間以内に落ち着くと説明されています。ただし、吸収までさらに時間がかかることもあります。
痛みがなくなったのに下まぶたに硬いしこりが残っている場合は、炎症が治まっても内部の肉芽腫が吸収されていない可能性があります。
しこりが大きい、長期間変化がない、見え方に影響する場合は、自然に消えるのを待ち続けず眼科を受診してください。
抗菌薬の目薬や眼軟膏は必要?麦粒腫の治療では、症状や感染の状態に応じて抗菌薬の点眼薬や眼軟膏、内服薬が処方されることがあります。
ただし、抗菌薬を使えば必ず早く治るというわけではありません。MSDマニュアルでは、一般的な麦粒腫の多くは自然に改善するため、抗菌薬の局所使用による効果が限定的な場合もあると説明されています。
一方、霰粒腫は基本的に細菌感染が原因ではありません。そのため、感染を伴わない典型的な霰粒腫に抗菌薬を使用しても、詰まった脂やしこりそのものを解消する効果は通常期待できません。
炎症が強い場合には、麦粒腫との区別がつきにくいこともあり、医師が抗菌薬や炎症を抑える薬を処方することがあります。
以前処方された目薬を自己判断で使い回すのは避けましょう。使用期限や保存状態、薬の適応が異なる可能性があるためです。
霰粒腫が治らない場合は手術も選択肢霰粒腫が大きくなったり、長期間吸収されなかったりする場合には、眼科で処置を検討します。
主な治療には次のような方法があります。
- 温罨法:温かいタオルなどでまぶたを温め、詰まった脂の排出を促す。
- 薬物療法:炎症の程度や感染の有無に応じて薬を使用する。
- ステロイド注射:症例に応じて、しこりの炎症を抑える目的で検討する。
- 切開・摘出:大きなしこりや長期間改善しない病変などに対して、内容物や肉芽腫を取り除く。
手術が必要かどうかは、しこりの大きさ、位置、経過、視力への影響などによって異なります。
なお、高齢者で同じ場所に繰り返すしこりや、長期間治らない病変がある場合は、まれな悪性腫瘍との鑑別も重要です。日本眼科学会は、霰粒腫に似た病変の中に脂腺癌などが含まれる可能性についても注意を促しています。
【自宅でできる対処法】温め方と絶対に避けたいNG行動
軽度の麦粒腫や霰粒腫では、自宅での適切なケアが症状の改善を助けることがあります。ただし、自己処置で膿を出したり、しこりを無理に取り除いたりすることは危険です。
温かいタオルでまぶたを温める自宅で取り組みやすいケアが、温罨法(おんあんぽう)です。
清潔なタオルをぬるめのお湯で湿らせ、軽く絞って、閉じた目の上に数分間のせます。目安は5〜10分程度、1日2〜3回です。
温めることで、霰粒腫では詰まった脂が柔らかくなり、自然な排出を助けることがあります。麦粒腫でも、膿の排出を促す目的で温罨法が用いられます。
ただし、熱すぎるタオルはやけどの原因になります。まぶたの皮膚は薄いため、心地よい温度に調整してください。
目元を清潔に保つ目の周囲を清潔に保つことも大切です。
- 目に触れる前には石けんで手を洗う。
- 洗顔時はまぶたを強くこすらない。
- アイメイクは症状が治まるまで控える。
- コンタクトレンズは症状が改善するまで使用を控える。
- タオルや目元に使用する化粧品を他人と共有しない。
特にコンタクトレンズを使用している人は、目の周囲を触る際の衛生管理を徹底しましょう。目の充血や痛みがある場合には、レンズの使用を中止して眼科に相談してください。
ものもらいを自分で潰すのは危険下まぶたに膿がたまったような膨らみがあると、自分で針を刺したり、指で押し出したりしたくなるかもしれません。しかし、これは避けるべき行為です。
無理に潰すと、細菌が周囲の組織に広がり、感染や炎症が悪化する可能性があります。また、まぶたの皮膚を傷つけたり、出血したりする危険もあります。
霰粒腫の場合は、そもそも細菌感染による膿ではなく、脂の詰まりによってできた肉芽腫です。押し出そうとしても根本的な解決にはなりません。
膿がたまっている場合や、しこりが大きくなっている場合には、眼科で適切な処置を受けることが安全です。
市販の目薬だけで治そうとしない市販の目薬にはさまざまな種類がありますが、すべての目薬がものもらいに対応しているわけではありません。
特に、霰粒腫のように脂の出口が詰まってできたしこりは、一般的な市販の抗菌目薬を使うだけでは解消できない場合があります。
また、充血を抑える目的の目薬や、ほかの症状向けの点眼薬を自己判断で使うこともおすすめできません。
症状が続く場合は、市販薬を追加するよりも眼科で原因を確認することが重要です。
【眼科を受診する目安】放置してはいけない症状と緊急サイン
ものもらいは自然に改善することも多い病気ですが、すべての下まぶたの腫れを自宅で様子見してよいわけではありません。
特に、視力の変化や強い腫れを伴う場合は、単純な麦粒腫や霰粒腫以外の病気も考える必要があります。
早めに眼科を受診したい症状- 下まぶたの腫れや痛みが強くなっている。
- 2日程度たっても改善の兆しがない。
- まぶたの赤みが周囲に広がっている。
- 膿が繰り返したまる。
- 痛みがなくなってもしこりが長期間残っている。
- 同じ場所に何度もものもらいができる。
- しこりが徐々に大きくなっている。
こうした症状がある場合は、自己判断で長期間様子を見るのではなく、眼科で原因を確認しましょう。
視力低下や発熱がある場合は早急な受診が必要次の症状がある場合は、通常のものもらいとして経過観察するべきではありません。
- 視力低下や急なかすみ目:見え方に異常が生じている。
- 複視:物が二重に見える。
- 眼球運動時の痛み:目を上下左右に動かすと強く痛む。
- 眼球突出:片方の目が前に出ているように見える。
- 発熱や全身症状:まぶたの腫れとともに発熱や強い倦怠感がある。
- 急激に広がる腫れ:まぶた全体や頬まで赤みや腫れが広がる。
これらは眼窩蜂窩織炎などの重い感染症で見られることがある症状です。特に視力低下、複視、眼球突出、眼球運動時の痛みがある場合は、直ちに医療機関を受診してください。発熱を伴う場合も、数時間以内を目安に緊急の診察が必要になることがあります。
眼科ではどのような検査をする?眼科では、まず腫れが発生した時期、痛みやかゆみの有無、膿の有無、症状の変化などを確認します。
その後、まぶたの表面や裏側、まつ毛の生え際などを観察し、麦粒腫、霰粒腫、眼瞼炎などを見分けます。
必要に応じて視力検査や細隙灯顕微鏡による診察を行い、感染が周囲に広がっている可能性がある場合には、追加の検査や画像検査を検討します。
通常の麦粒腫や霰粒腫では診察所見から判断できることが多い一方、眼窩蜂窩織炎などが疑われる場合には、CTやMRIによる評価が必要になることがあります。
受診時には、いつから腫れているか、痛みが強くなった時期、使用中の目薬、コンタクトレンズの使用状況などを伝えると診断に役立ちます。
【ものもらい下まぶた】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:下まぶたのものもらいは自然に治りますか?
A1:軽度の麦粒腫は自然に排膿され、数日以内に改善することがあります。霰粒腫も自然に吸収される場合がありますが、2〜8週間程度かかることもあります。腫れが悪化する場合や長引く場合は眼科を受診してください。
Q2:下まぶたに痛くないしこりがあります。ものもらいでしょうか?
A2:痛みの少ない丸いしこりは霰粒腫の可能性があります。ただし、麦粒腫の炎症が落ち着いた後にしこりが残る場合もあります。長期間消えない場合や大きくなる場合は、眼科で確認することが大切です。
Q3:下まぶたの裏側にできたものもらいは危険ですか?
A3:内麦粒腫の可能性があります。外麦粒腫より痛みが強くなる場合や、自然に膿が排出されにくい場合があります。強い腫れや痛みがある場合は早めに眼科を受診しましょう。
Q4:ものもらいは温めたほうがよいですか?
A4:温罨法は麦粒腫や霰粒腫の自宅ケアとして用いられます。清潔な温かいタオルを閉じた目に5〜10分程度当てる方法があります。ただし、熱すぎるタオルや強い圧迫は避けてください。
Q5:ものもらいを自分で潰しても大丈夫ですか?
A5:自分で潰すのは避けてください。細菌感染を周囲に広げたり、皮膚やまぶたを傷つけたりする危険があります。膿がたまっている場合は、眼科で適切な処置を受けてください。
Q6:ものもらいで視力が低下することはありますか?
A6:一般的な麦粒腫では視力に大きな影響が出ることは多くありません。ただし、大きな霰粒腫が眼球を圧迫して視界がかすむ場合や、感染が眼窩に広がって視力障害が起こる場合があります。視力低下や複視がある場合は直ちに受診してください。
下まぶたにできるものもらいには、細菌感染による麦粒腫と、マイボーム腺の詰まりによる霰粒腫があります。
赤みや痛み、膿を伴う場合は麦粒腫が考えられ、痛みが少ない硬いしこりが残る場合は霰粒腫の可能性があります。ただし、両者は症状が重なることもあり、見た目だけで正確に区別することはできません。
軽度の症状であれば、清潔な温かいタオルを使った温罨法や、目元を清潔に保つケアが役立つことがあります。一方、無理に潰したり、自己判断で抗菌薬を使用したりすることは避けましょう。
特に注意したいのは、痛みがなくなってもしこりが残るケースや、腫れが急速に広がるケースです。長期間改善しないしこりには、霰粒腫以外の病気が隠れている可能性もあります。
視力低下、複視、発熱、眼球運動時の痛み、強い腫れがある場合は、早急な受診が必要です。
下まぶたの腫れを単なるものもらいと決めつけず、症状の変化を確認しながら適切なタイミングで眼科を受診することが、目の健康を守るための大切な判断基準になります。
医学的な主な参照資料
- 日本眼科学会「麦粒腫」「霰粒腫」「まぶたがはれる(眼瞼腫脹)」の疾患解説。
- MSDマニュアル家庭版「霰粒腫と麦粒腫」。治療、自然経過、症状の違いについて参照。
- MSDマニュアル家庭版「眼瞼腫脹(まぶたの腫れ)」。重症化の警戒症状と受診時期について参照。
- American Academy of Ophthalmology「The Difference Between a Stye and a Chalazion」。温罨法や自己圧出を避ける注意点について参照。
※本記事は2026年11月時点で確認できる医学情報に基づく一般向け解説です。個別の診断や治療に代わるものではありません。